[ソウル 22日 ロイター] - 韓国外務省は22日、米韓が北朝鮮政策を調整するために設置した作業グループの廃止を検討することで合意したと発表した。同グループが南北間の事業を妨害する米国の手段と受け止められるようになったことが背景。

同省の声明によると、米国のソン・キム北朝鮮担当特使と韓国の魯圭悳・朝鮮半島平和交渉本部長が21日の会談で、他のレベルでの調整を強化しつつ、「作業グループの廃止を検討する」ことで合意に達した。

キム特使は北朝鮮と「いつでも、どこでも、前提条件なしに」会談する意思があるとし、「すぐにポジティブな反応」があることを期待していると述べた。

作業グループは、北朝鮮との外交関係が活発化した2018年に、非核化協議や人道支援、制裁執行、南北関係などの問題で米韓のアプローチを調整するために設置された。

昨年、ハリス駐韓米大使(当時)は北朝鮮への個人旅行再開などの韓国の提案に関して質問された際、「制裁につながるような誤解を避けるために作業グループを通じて扱ったほうが良い」と発言。

米国は韓国の決定を承認する立場にはないとしたものの、同氏の発言は韓国で物議を醸し、文在寅大統領の元側近は後に議会で、作業グループは南北関係を妨げるという見方が強まっていると指摘した。

英キングス・カレッジ・ロンドンのラモン・パチェコ・パルド氏は、作業グループが廃止されれば、文政権はバイデン米大統領からの善意の印と受け止めるだろうと述べた。

「韓国の視点から見ると、これは基本的にトランプ政権時代に米国が南北間のプロジェクトを阻止するためのメカニズムだった」と指摘。「いずれにしても、米韓の間で協議が行われることから、バイデン政権にとって作業グループを廃止することは政治的に賢明な行動と言える」と語った。