[上海 18日 ロイター] - ロイターが市場関係者を対象に今週実施した調査によると、中国人民銀行(中央銀行)は21日、銀行の貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を据え置く見通し。

ただ、米連邦準備理事会(FRB)がタカ派的な姿勢を示したことを受けて、国内の利上げ観測も浮上している。

市場関係者28人中22人(79%)は、1年物LPRと5年物LPRがともに据え置かれると予想した。

4人は1年物と5年物が5ベーシスポイント(bp)引き上げられると予想。2人は1年物が5bp引き下げられると予想した。

現在、1年物LPRは3.85%、5年物LPRは4.65%。

人民銀行は今週、1年物の中期貸出制度(MLF)金利を据え置いた。MLFは、人民銀行が銀行システムの期間が長めの流動性を管理する主要な手段の一つとなっており、LPRを予想する手掛かりとなる。

一部のアナリストは、FRBがタカ派的な姿勢を示したが、人民銀行の金融政策スタンスに影響が出ることはないだろうと予想している。

ANZのアナリストはリポートで「人民銀行と米連邦公開市場委員会(FOMC)は切り離されるだろう」と指摘。「5月の経済指標を見ると、中国の経済活動には短期的に下振れリスクがある。このため、FRBの相対的にタカ派的なスタンスが中国の金融政策に影響を及ぼす可能性は低い」と述べた。

5月の中国の鉱工業生産は3カ月連続で減速。輸出拠点である南部広東省で新型コロナウイルスの感染が拡大した影響によるものとみられる。

大中華圏担当エコノミストのChen Jingyang氏は「回復の勢いが鈍っている。依然としてセクターによって状況はまちまちだ。このため、中国当局は政策スタンスを『急転回しない』方針を堅持するだろう」と指摘した。

同氏は、1年物LPRが年内は据え置かれ、打撃を受けている中小企業に的を絞った対策が講じられるとの見方を示した。