[台北 18日 ロイター] - 台湾行政院(内閣)の羅秉成​報道官は18日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の創業者、郭台銘(テリー・ゴウ)氏と台湾積体電路製造(TSMC)に対し、台湾当局の代理として新型コロナワクチンについて交渉することを認める方針を示した。

ただ、交渉がまとまるかどうかは不透明だとの認識も示した。

台湾では、少なくとも1回のワクチン接種を受けた人が人口の6%にとどまっている。当局はワクチンの調達を急いでおり、民間企業によるワクチン購入を許可せざるを得ない状況に追い込まれている。

郭氏は18日、自身の教育財団を通じて、独ビオンテックの新型コロナワクチン500万回分を購入する計画について、蔡英文総統と協議したいと表明。「政治的な意図や商業的な意図は全くない」と述べた。

羅秉成​報道官は、TSMCからも同量のワクチンの寄付の申し出があったことを明らかにした。

同報道官によると、ビオンテックは16日、ワクチンは政府にしか販売しないと郭氏に伝えた。

同報道官は「TSMCと(郭氏の)教育財団がワクチンを購入し、当局に寄付するのが良い方法だ」と述べた。

台湾当局は、ドイツ政府の支援を得て、独自にビオンテックとの交渉を続けており、郭氏などがワクチンを調達できる保証はないとしている。

台湾は、中国からの圧力により、ビオンテックからワクチンを購入する契約が今年初めに成立しなかったと主張している。

中国側はこれを否定。大中華圏でビオンテックと販売契約を結んでいる上海復星医薬を通じて、台湾は自由にワクチンを確保できるとしている。

しかし、台湾は中国からのワクチンは信用できないとし、ビオンテックとのみ契約する方針を表明している。