[台北 17日 ロイター] - 台湾中央銀行は17日、★四半期に一度の政策決定会合で、政策金利を予想通り1.125%に据え置くことを決定した。好調な輸出を背景に、今年の経済成長率予測を上方修正した。

新型コロナウイルスの流行で在宅勤務や在宅学習が拡大し、ハイテク製品の需要が世界的に増えており、台湾経済は好調を維持している。

ロイター調査では、エコノミスト14人全員が政策金利の据え置きを予想していた。

据え置きは過去1年3カ月で5回目。中銀は2020年3月に利下げを決定した。

2021年の域内総生産(GDP)予測は5.08%増。3月時点の予測は4.53%増だった。2020年のGDPは3.11%増、2019年は2.71%増だった。

2021年第1・四半期のGDPは前年比8.92%増と、約10年ぶりの高い伸びとなった。

楊金龍中銀総裁は会見で「台湾での感染拡大は消費に影響を及ぼすとみられるが、輸出や投資は依然非常に強く、経済成長は非常に安定している」と述べた。

キャピタル・エコノミクスは、新型コロナの感染状況や、利上げに踏み切った場合にすでに上昇している台湾ドルをどの程度押し上げるか、という懸念を踏まえると、中銀が利上げを急いでないのはもっともだとし、少なくとも年内は政策金利が維持されると予想した。

中銀は、域内の新型コロナ感染拡大で消費が影響を受けているものの、今年の経済は輸出に支えられて安定した成長を見せるだろうと指摘。また、民間投資は域内のハイテク投資に押し上げられそうだとした。

第2・四半期の経済成長については「やや鈍化」しそうだとしつつ、政府の支援措置拡大に加え、域内の感染拡大が抑制されるとの想定から消費は徐々に安定するとの見方を示した。

中銀は下半期の経済成長率を2.86%と、上半期見通し(7.55%)から鈍化するとの見通しを示した。

楊総裁は、異常気象、水・電力不足を巡る不確実性を指摘した。

前日、米連邦準備理事会(FRB)は、予想する利上げ時期を前倒しし、量的緩和縮小の準備を始める姿勢を示した。

楊総裁は、台湾中銀の金融政策構造は現時点で適切だが、いつでも見直すことは可能と説明。「米欧中銀のように、利上げ時期に関するフォワードガイダンスを示す必要はない」と述べた。