[ベルン 17日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は17日、超緩和的な金融政策の維持を決定した。

世界経済が新型コロナウイルス禍から回復する中、インフレ率の見通しを引き上げた。

中銀は、政策金利と中銀預金金利を市場の予想通りマイナス0.75%に据え置いた。

中銀は、スイスフランが依然として過大評価されていると指摘。スイスフランはここ数週間、他の中銀が低金利を維持する中、値上がりしている。

スイス中銀は、欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備理事会(FRB)に続き、インフレ予測を上昇修正。

インフレ目標は0-2%だが、2021年のインフレ率の予想を3月時点の0.2%から0.4%に上方修正した。

2022年と2023年のインフレ率の予想は0.6%。従来予想はそれぞれ0.4%、0.5%だった。

ただジョルダン総裁は記者会見で、インフレ予想の上方修正は政策変更を正当化するものではないと指摘。「スイスの金利とインフレ率は、国際的に見ても低い水準にある。調査データによると、長期的には1%前後のインフレ率が予想されている」とした。

その上で、生産能力がまだ十分に活用されていないことや、緩やかなインフレ予測を背景に、緩和的な金融政策は引き続き適切だとの認識を示した。

<フラン高>

スイス中銀が利上げを検討するのは、インフレ率が大幅に上昇し、目標レンジの0─2%を超えた場合となる。しかしジョルダン総裁は「依然としてスイスフラン高がインフレ上昇を抑えている。これは他の多くの国との大きな違いだ」と付け加えた。

ザンクト・ガレン・カントナルバンクのチーフ・インベストメント・オフィサー、トーマス・シュトゥッキ氏は、1%のインフレ予想では22年と23年の政策見通しは変わらないと指摘。「米連邦準備理事会(FRB)が利上げを開始しない限り、スイス中銀には何も起こらない。つまり今後数年はマイナス金利が続くということだ」と述べた。

またUBSのエコノミスト、アレッサンドロ・ビー氏は、スイス中銀が22年と23年のインフレを同率に予測していることは「現在のインフレ率の急上昇を一過性のものと見なしていることは明確だ」との見方を示した。

スイス中銀は引き続きフランが高いとし、必要に応じて為替市場に介入する用意があると表明した。