[オタワ 16日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁は16日、過熱していた国内住宅市場に冷却化の兆しが出始めているが、正常化には時間がかかるとの認識を示した。

住宅価格は、投資目的の取引やチャンスを逃すといった懸念を背景に、2020年終盤から2021年初めてにかけて急騰。5月の全国平均の販売価格は前月比で1.1%低下したが、前年同月の水準を依然として38.4%上回っている。

総裁は上院銀行委員会で「住宅市場に鈍化の初期の兆候が出始めている。供給が拡大し、需要が鈍化する見通しで、住宅市場のバランスが改善すると予想している」と発言。

ただ「一定の時間がかかると考えている。状況を注視している」と述べた。

総裁は、人々が転売目的で住宅を購入している証拠があると改めて指摘。最近の価格急騰は長続きしないと述べた。

「金利は異例の低水準にあり、これは最終的にはさらなる上昇余地があることを意味する」と述べた。

国内経済については、新型コロナウイルス感染拡大による打撃から年初に急回復したが、第2・四半期には再び弱含んだとの見解を示した。

総裁は、景気の完全な回復には依然として時間が必要だとし、新型コロナ感染第3波が妨げになっていると指摘した。

上院銀行委員会で「経済活動は秋冬に急回復したが、今年第2・四半期には再び弱含んだ」と述べた。

カナダ中銀は昨年、政策金利を過去最低の0.25%に引き下げた。総裁は、少なくとも経済のスラック(需給の緩み)が完全に解消されると見込まれる2022年下期のある時点まで、金利を据え置く方針を改めて示した。

「景気回復は順調に進んでいるが、完全な回復にはなお時間が必要だ。新型コロナ第3波が妨げになっている」と語った。