[ワシントン 16日 ロイター] - イエレン米財務長官は16日、主要7カ国(G7)が合意した各国共通の最低法人税率に関し、中国など一部の国を例外扱いするいかなる措置にも同意する考えはないと表明した。

米国は他国と協力し、中国が国際最低税率を受け入れるよう説得を続けていると述べ、支持に回ることが国益に合致すると中国が判断するよう期待していると語った。

長官は上院財政委員会で「われわれは、頑健な国際最低税率制度を著しく弱体化させるいかなる例外規定にも同意するつもりはない。中国やその他の国を例外扱いすることはない」と述べた。

「われわれは(最低税率が)機能することを望んでおり、抜け穴だらけになってほしくない」と続けた。

G7財務相会合は今月5日、各国共通の最低法人税率を少なくとも15%に設定することで合意。13日のG7首脳会議(G7サミット)で承認された。

ただ、中国を含む一部の国は、研究開発(R&D)振興や海外からの投資呼び込みを優先政策に据えて経済特区などを含め優遇税制を実施しており、廃止には消極的だ。

G7の協議について詳しいある当局者はロイターに、中国は15%の最低法人税率に反対で、適用除外の対象になることが支持の条件になると語った。

中国を含む20カ国・​地域(G20)は7月にイタリアのベネチアで開く財務相会合で、米国が提案する国際最低税率を主要議題として取り上げる見通し。

イエレン長官はまた、米国は各国がデジタルサービス税を一時停止、もしくは撤回するようあらゆる手段を尽くしていると述べ、関税措置も辞さない姿勢を示した。

アイルランド財務相と「極めて建設的」な協議を行ったとし、米国が提案している国際的な最低税率の引き上げについて、欧州連合(EU)は最終的に支持すると確信していると述べた。

その上で、経済協力開発機構(OECD)主導で進められている課税を巡る協議が10月のG20首脳会議までに進展することを望んでいると語った。

米国内の法人増税に向けた動きが、国際的な合意に弾みを付ける一助になると指摘。また、米国で事業を行う外資系企業の海外への利益移転を阻止するための提案も行っているとした。

このところの米国の物価上昇については、バイデン政権はインフレを「極めて緊密に」注視しているとし、この問題を真剣に受け止めていると表明。物価上昇は米経済の再開がいかに難しいかを示しているとし、物価高につながっている供給網の阻害に政権は対応していると述べた。

中国との関係については、米国の国家安全を守るためにいくつかの部門でデカップリング(分断)が進むとの見方を示した。ただ技術部門のデカップリングには懸念を示した。

このほか、米内国歳入庁(IRS)の納税者情報の漏洩について、「極めて深刻な状況」とし、必要に応じてデータ保全などの対策を取る姿勢を示した。