[東京 9日 ロイター] - 政府は9日、経済財政諮問会議を開催し、2021年度における「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針)の原案を提示した。グリーン社会やデジタル化などの成長を促す施策を推進するとともに、財政健全化にも取り組む方針を盛り込んだ。

成長を生みだす4つの原動力として、グリーン社会の実現、官民挙げたデジタル化の加速、地方創生、子育て支援を挙げ、ポストコロナの持続的な成長につなげる投資を加速する考えを示した。これらの政策を推し進めることにより、「民間の大胆な投資とイノベーションを促し、経済社会構造の転換を実現する」とした。

具体的には、50年のカーボンニュートラルに向けた投資促進税制の活用などや企業の脱炭素化投資を後押しし、新技術の導入に資する規制改革や国際標準化にも取り組む。

また、子供の貧困や児童虐待、重大ないじめなど子供に関する様々な課題に総合的に対応するため、省庁間の縦割りを排した行政組織を創設するため早期に検討に着手するとした。

財政健全化については、基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を25年度までに黒字化させる財政目標を堅持した。新型コロナウイルス感染症の経済的な影響を年度内に検証し、目標年度を再確認することも明記した。

菅義偉首相は同会議で「経済あっての財政という考え方により、財政健全化目標を達成し、これまでの歳出改革の努力を続ける」と強調した。

22年度の予算編成に向けた考え方として、骨太原案では「感染症の影響などの経済状況に応じて、躊躇(​ちゅうちょ)なく機動的なマクロ経済政策運営を行うことにより、経済の下支え・回復に最優先で取り組む」とした。 

このほか、菅首相は、格差是正のため「最低賃金について、より早期に全国加重平均1000円とすることを目指し今年の引き上げに取り組む」との方針を示した。

政府は、与党との協議も踏まえ、来週、新たな骨太方針を閣議決定する。