[香港 7日 ロイター] - 日本を除くアジア太平洋地域で政府や企業などが今年これまでに発行した「ESG債(環境や社会貢献、ガバナンス関連の事業に使途を限定した債券)」は総額691億ドルとなり、前年同期の2倍以上に膨らんで過去最高水準に達した。発行件数は234件で、前年同期の3倍近くだった。リフィニティブのデータで明らかになった。

発行規模は過去2年で初めて米国勢を上回った。金融市場の潤沢な流動性に加え、世界経済がコロナ禍から立ち直ろうとしている中で、アジアへの投資を積極的に拡大しようとする国際投資家の需要が増していることが背中を押している。

アジア太平洋のESG債のうち最も多く発行されたのはグリーンボンド(環境債)で、全体の70%を占めた。国別では中国勢が51.3%と最大の比率となり、次いで韓国が21.2%だった。

シティグループのアジア太平洋法人金融責任者カリーム・リズビ氏は「環境関連の預金やローンの需要、資本市場へのアクセスは記録的水準で推移し、さらに勢いを増している」と指摘。「明確なESG戦略の必要性を認識する顧客が増えている。投資家や他の利害関係者がそうした戦略を要求しつつあり、それは彼らが取り残されたくないと思っているからだ」と説明した。

米国のESG債発行は件数が86件、規模は531億ドル。伝統的にESG債市場をけん引してきた欧州は発行規模が2481億ドルで、前年同期の少なくとも3倍に増加した。