[ブリュッセル 3日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は7月14日に「国境炭素税」について提案を行う。ロイターが入手した素案によると、域外から輸入する鉄鋼・セメント・電力などが課税対象となる。

国境炭素税はEUよりも環境規制が緩い国からの輸入品に事実上の関税を課して公平な競争を確保する狙いがある。

2026年から全面的に導入されるが、23年から「移行期間」を設ける可能性がある。素案は修正される場合もある。これについてはブルームバーグが2日夜に最初に報じていた。

国境炭素税の対象となるのは鉄鋼・アルミニウム・セメント・肥料・電力など。輸入業者は「デジタル証明書」を購入する必要がある。証明書1枚が二酸化炭素(CO2)排出量1トンに相当する。証明書の価格はEU排出権取引制度での排出枠の価格に連動する。

欧州委は素案についてコメントを控えたが、この措置は世界貿易機関(WTO)のルールに完全にのっとっていると指摘した。

輸入業者は毎年5月31日までに前年に欧州に輸入した商品について排出量を報告し、国境炭素税の徴収証明書を提出するよう求められる。提出を怠った場合には証明書の費用の3倍の罰金が科せられる。

素案によると、既に排出量取引が行われている国に拠点を置く輸入業者は国境炭素税の減額を要求できる可能性がある。こうした国・地域には中国や米カリフォルニア州などが含まれる。