[ニューヨーク 3日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、ドルが上昇し、対ユーロで3週間ぶり、対円で2カ月ぶりの高値を付けた。労働市場に関する経済指標が予想より良好だったことで、米経済が新型コロナウイルス禍から回復している兆候が改めて示された。

労働省発表の5月29日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は38万5000件。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)発生以降で初めて40万件を下回った。市場予想は39万件だった。

また、企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティクスが発表した5月の全米雇用報告は、民間部門雇用者数が97万8000人増。市場予想の65万人増を上回り、2020年6月以来の大幅な伸びとなった。

テンパスの外為ストラテジスト、フアン・ペレス氏は「米経済はパンデミック(世界的大流行)モードから脱しつつあり、景気が勢いづいていることが指標で明確に示されているため、ドルは評価されなくてはならない」と述べた。

市場は労働省が4日に発表する5月の雇用統計に注目。非農業部門雇用者数の65万人増が予想されている。ただ、フォレックス・ドットコムとシティ・インデックスの市場調査部門グローバル責任者、マット・ウエラー氏は「コロナ禍からの回復が進む中、米労働市場のボラティリティーは通常より高い状態にある」とし、「雇用統計は毎月大きく揺れ動いており、予測が難しいため、市場予想はあまり重視していない」と述べた。

終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数は0.7%高の90.5040。一時は90.554と、3週間ぶり高値を付けた。

ユーロは対ドルで0.7%安の1.2123ドル。一時は1.2118ドルと、3週間ぶり安値を付けた。

ドルは対円で0.6%高の110.245円。一時は110.315円と、2カ月ぶり高値を付けた。

ロシアは、政府系ファンドのナショナル・ウェルス・ファンド(NWF)のドル保有を完全になくし、ユーロ、中国人民元、金の保有を増加させると発表。ただ、外国為替相場にほとんど影響はなかった。

ドル/円 NY終値 110.28/110.31

始値 109.76

高値 110.32

安値 109.74

ユーロ/ドル NY終値 1.2124/1.2128

始値 1.2186

高値 1.2196

安値 1.2119