[フランクフルト 2日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのワイトマン独連邦銀行(中央銀行)総裁は2日、ECBの景気刺激策の下で環境負荷が大きい企業の債券買い入れを減らすことに前向きな姿勢を示した。気候変動対策としてこうした積極的な役割を果たすことに反対していた姿勢からの転換となる。

ワイトマン氏が姿勢を軟化させたことにより、ラガルドECB総裁が提唱するように、ECBは債券買い入れプログラムで環境に配慮した何らかの措置を導入する可能性が強まったと言えそうだ。この問題は夏の終わりまでに完了する予定となっている戦略的見直しの一環としてECB内で議論されている。

ワイトマン氏は、ECBの最初の立ち寄り先は気候関連の報告義務を満たした企業の債券のみを買い入れ、こうしたリスクを反映したクレジット格付けを利用すべきとする自身の見解を再確認。ただ、これには時間がかかるほか機能しない可能性があり、ユーロシステムが独自に行動する必要が出てくる可能性を意味することを認めた。

同氏は「十分な解決策がここで見つからなければ、ユーロシステムが代替措置を導入せざるを得なくなるだろう。例えば、ユーロシステムの金融政策ポートフォリオにおいて、特定セクター・発行体の社債の期限や量を制限するといったことだ」と述べた。

また、政治的な理由のために民間部門の行動を誘導することと、これを「混同すべきではない」と強調。「そして、たとえわれわれがこのように社債の期限と量の制限を決断したとしても、気候関連金融リスクを測る適切で透明性ある物差しが依然必要になる」と付け加えた。

ワイトマン氏は国際決済銀行(BIS)のグリーンスワン会議で講演し、残高に比例して債券を買い入れる「マーケット中立性」を擁護する考えを撤回。この考えは5年前に開始したECBの社債買い入れの原則となっていた。これらは現在、コマーシャルペーパーを含め合計3160億ユーロとなっている。