[ワシントン 1日 ロイター] - 米供給管理協会(ISM)が1日に発表した5月の製造業景気指数は61.2と、前月の60.7から上昇した。経済再開に伴うペントアップデマンド(繰越需要)が追い風となった。一方、原材料や労働力不足が影響し、供給が追いついていない構図も顕著となった。

市場予想は景気指数が60.9だった。50が景気判断の分かれ目となる。製造業は米経済の約12%を占める。

内訳では、雇用が前月の55.1から50.9に低下し、昨年11月以来の水準にとどまった。

新規受注は67.0と、前月の64.3から上昇。仕入価格は88.0と、前月の89.6から低下した。また、入荷遅延は78.8と、前月の75から上昇し、1974年4月以来の高水準に達した。

ISMは、企業やサプライヤーが「高まる需要への対応で苦闘している」と指摘。「記録的に長いリードタイムや広範な主要原材料不足、商品価格の上昇、製品輸送を巡る厳しい状況が引き続き製造業のあらゆる分やに影響している」とした。また、「圧倒的多数」の企業が採用を実施もしくは目指しているものの、「50%以上の企業が人材確保に苦しんでいる」とした。

プランテ・モラン・フィナンシャル・アドバイザーズの最高投資責任者、ジム・ベアード氏は「堅調な需要は良い問題ではあるものの、製造業の対応能力を脅かしつつある」と述べた。

5月は家具、機械、輸送機器、コンピューター・電子製品など16業種が景況拡大を報告。業況縮小は、印刷関連の1業種のみだった。

コンピューター・電子製品分野の企業からは「需要は堅調だが、人材が確保できない」、食品・飲料・たばこ分野の企業からは「港での遅延が引き続き在庫水準を逼迫(ひっぱく)させている」との指摘が聞かれた。

金属加工製造分野の企業は「第4・四半期もしくはそれ以降まで」供給網の問題改善は見込めないとの見方を示した。

製造業の雇用状況は、4日に発表される5月の米雇用統計の内容に影を落とす可能性がある。ロイターのエコノミスト調査によると、非農業部門雇用者数は前月比66万4000人増と予想されている。

INGのチーフ国際エコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は「労働力不足を巡る状況が9月までに著しく緩和するとは予想していない。5月雇用統計では、雇用者数の伸びが再び圧迫される可能性がある」と述べた。