[チェンナイ 24日 ロイター] - インド南部タミルナド州にある仏ルノーと日産自動車の合弁工場で、26日から従業員がストライキに突入する。労組の代表が24日、経営側に書簡で明らかにした。従業員側が求める新型コロナウイルスの安全対策が拒否されたとしている。

従業員は社会的距離(ソーシャルディスタンス)を取るルールが守られておらず、会社支給の医療補助も生命のリスクに対して不十分だとして、裁判所に訴えていた。

労働者側の代理人は24日に開かれた審理で、会社側はシフト数を減らす一方で、生産台数を減らしておらず、人員の数も変えていないことから工場での密集につながっていると主張した。

会社側は人員を8000人から約5000人に減らしたと主張。また、45歳以上の従業員にワクチンを接種したほか、ワクチンを確保できれば45歳未満の従業員にも接種する意向だとした。

判事は、従業員の健康は最重要だとしつつ、産業が沈めば従業員の働き場がなくなると指摘。また、会社は州が付与したロックダウン(都市封鎖)の免除措置を活用してはならず、必要な輸出受注のみを満たすよう生産を減らすべきと述べた。

次回審理は31日に開かれる。

工場の労働者約3500人を代表する労組は経営陣宛ての24日付書簡で、安全だと感じられるまで職場に復帰しないと表明した。

●労働者側は、ソーシャルディスタンスを一段と確保するための減産やワクチン接種、家族の医療費も含むようにする保険の補償範囲の拡大などを求めている。

工場の過半数株式を所有する日産は、コメントを控えた。

ルノーと日産は先週、インドの裁判所で新型コロナの安全対策が守られていないとの主張に反論。受注に対応するため、生産を継続する必要があると訴えた。

<現代自も操業停止へ>

また、韓国の現代自動車も、タミルナド州にある工場の操業を25日から5日間停止すると発表。州内で新型コロナ感染が拡大する中、24日に一部の従業員が座り込みの抗議を行ったことを受けた。

現地労組の代表者はロイターに対し、「従業員2人が新型コロナに倒れ、労働者が安全性への懸念を表明したことを受け、経営陣は工場の閉鎖に同意した」と説明した。

「インドのデトロイト」として知られる同州は、国内でも最も新型コロナ感染が広がっている州の1つで、5月31日までロックダウンが導入されているものの、自動車工場を含む一部工場は操業継続が認められている。