「世界トップレベルのワクチン研究開発拠点へ」政府提言案判明
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あまり研究の事についてネガティブな発信はしたくないのですが、日本の科学政策は「重要さが自明になってから」資金を投入する傾向があります。ノーベル賞を受賞した分野に受賞後に大規模な資金投入したからといって、二つ目のノーベル賞を取ることは難しいですし、政策として行わなくても、市場から十分に予算獲得が可能になっていることもしばしばあります。
研究競争相手であるUSやヨーロッパの一歩前を進むために重要なのは、政策レベルでの「目利き」と、浅く広い多分野への資金投入による「底上げ」という両軸です。もちろん、国産ワクチンを研究開発することが現状極めて重要な意味を持つことは間違いない一方で、「コロナ禍の今だから」「ワクチン開発が遅れてる今だから」、ワクチン拠点に資金投入するという短絡的な発想ではなく、将来的にこの資金が新しいサイエンスの種を芽吹かせられる自由度を持った枠組みで運用されることに期待しています。今に限った話ではないのですが、日本はどうも長期的かつ統合的な戦略の構想と実行が苦手な気がします。
研究開発やその教育体制の構築は、相当長期間の継続が必要で、幅広い視点から色々な細かい施策を統合的に継続していかないと身を結ばない話ですね。
せっかく打ち出した政策が2年もすると尻すぼみになったり、ある施策で推進していたら、別の省庁の規制が邪魔になって全然進まないとか、あるあるです。
2000年ごろの「e-Japan戦略」などもいい例で、この戦略を粘り強く全面的に推進していたら、今のIT環境(特に政府部門)は全く違ったものになった可能性があります。残念です。
日本人の気質もあるでしょうけど、選挙制度や縦割り行政、役所の短期の人事異動とか、色々な問題が重なってそうなっている気がしますので、うーん、簡単には解決しないのかな、と。
安倍首相の評価はともかく、安定して強い長期政権と、高い視野を持った省庁幹部の組み合わせがハマらないと無理なのかもしれません。ワクチンに限らず素晴らしい技術的成果を支えているのは、多くの地味な基礎研究の積み重ねです。引用されてる論文を見ると、「最初はこんな目立たない発見から始まったのか〜」みたいなことは往々にしてあります。
裾野の部分は、今現在役に立たないからと削られがちですが、基礎をしっかり作り込む気がなければ、すごい拠点が一つあっても速やかな実用化に繋がるとは限りません。とても難しい課題ではありますが、どういう環境を整えれば、長期的にみて有益な研究が生まれるかをよく練って頂きたいと思います。