2021/5/16

【注目】「幻覚剤」が切り開く、メンタルヘルスの新時代

INDEX
  • PTSDやうつ病にも効果大
  • 名門大学がこぞって研究に参戦
  • 「脳に穴が開く」はデマ
  • ビジネス界からの熱い視線
  • 保守派の議員も態度を軟化
  • 「ドラッグvs.体制」の歴史
  • 聖職者と共同で「神秘体験」を解明
  • ハイエンドな幻覚クリニックも登場

PTSDやうつ病にも効果大

大学時代に初めてLSDを摂取したのをきっかけに、幻覚剤が持つ癒やしの力に人生をささげると誓って40年──幻覚剤研究のパイオニア、リック・ドブリン(67)の人生は長く奇妙な「トリップ」だった。
麻薬撲滅運動の流れでMDMA、LSD、マジックマッシュルームが違法となり研究者の大半が現場を去っても、ドブリンは両親から資金援助を受けつつ不屈の精神でリサーチを続けた。
幻覚剤を医学の主流に受け入れさせることを目指すドブリンの探求は、5月10日、自身の研究チームによるMDMAの研究結果が学術誌ネイチャー・メディシンに掲載されたことで、飛躍的に前進するだろう。
40年来、幻覚剤の研究を続けてきたリック・ドブリン博士(Tony Luong for The New York Times)