[東京 14日 ロイター] - 政府が14日開催した経済財政諮問会議で、民間議員は今年度後半には経済を新型コロナウイルス感染症前の水準に回復させ、さらに自律的な成長軌道に乗せていくためには最低賃金を含む賃上げが必要との見解を示した。

菅義偉首相はすでに、最低賃金を「より早期に全国平均1000円とすることを目指す」と賃上げに向けた姿勢を示しており、今夏にも取りまとめる骨太の方針策定に向けて議論する。

最低賃金は、2016年度から19年度まで連続で約3%程度引き上げられたが、昨年度はコロナ感染症拡大を受け横ばいだった。現在の最低賃金の全国加重平均額は902円となっている。

民間議員は、世界経済が急速に回復に向かっており、今後はワクチン接種の普及などの対策効果も見込まれるなど昨年とは状況が変化してしていると指摘。

今年は、「最低賃金の引き上げモメンタムを回復することが必要であり、コロナ前まで引き上げてきた実績を踏まえつつ、より早期に1000円になることを目指すべき」と提言に記した。

<財政健全化目標の堅持>

また、民間議員からは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に対応するため、「経済状況に応じた機動的・弾力的なマクロ経済運営を行い、経済の下支え・回復を最優先に取り組む必要がある」とした一方、「財政健全化に向けしっかりと取り組んでいくべき」との認識も示された。

感染症の影響を受けた経済を下支えするため大規模な財政出動を行ったことなどにより、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)は一時的に改善軌道から大きく乖離する見込みと指摘。

将来世代への不安を取り除き、社会保障の持続可能性を確保するためにも「PB黒字化、債務残高対GDP比縮減の財政健全化目標を堅持すべき」とした。

政府は2025年度のPB黒字化を目標として掲げているが、民間議員から提出された資料には具体的な時期については明記されなかった。