株式会社ユーザベースは、2021年5月13日に2021年第1四半期の決算説明会を開催しました。当日の様子をほぼ全文採録でレポートいたします。

連結業績ハイライト

佐久間:
第1四半期の業績についてご説明いたします。まずビジネスセグメントのご案内です。
SPEEDA事業はSPEEDAとSPEEDA EXPERT RESEARCH。SPEEDA EXPERT RESEARCHをMIMIRが手掛けております。
その他B2B SaaS事業は、FORCAS、FORCAS Sales、INITIAL。
NewsPicks事業は、NewsPicksとAlphaDrive。
それ以外の事業は、この3つのセグメントには含まれないとご理解いただければと思います。
第1四半期の業績のハイライトです。まず全体観として、順調な成果が出せた四半期だったと考えています。
後ほど事業別にご案内いたしますが、SPEEDA事業は売上高とMRRが順調に拡大し、エキスパート事業が立ち上がって来ているのがポジティブかと思います。
その他B2B事業については、FORCAS、INITIALともに順調に成長しております。
NewsPicks事業については、特に広告事業がコロナの状況にも関わらず大変好調で、売上高と利益が共に拡大しています。
結果として、グループ全体で売上高156億円、EBITDA18億円、営業利益13.8億円という通期のガイドラインに対して順調に進捗しております。
売上高は25%の進捗でして、利益のところは25%を大きく上回っているので、通期の計画に対して上ブレるのではないかという印象を持たれるかもしれませんが、例えばSPEEDA事業でも、下期にコストが偏る傾向がございます。
それに加え、前回の決算説明会でお伝えした我々の今期の投資。来年以降、売上高30%成長を継続的に達成するためのエンジニア組織への投資、もしくは新規事業への投資。そういったものが第2四半期以降に本格化してまいりますので、EBITDA、営業利益という利益面に関しても、現状は通期計画の通りに着地する見込みを持っております。
最重要指標のMRRは、第1四半期が終了した3月末時点で8.83億円。これを12倍したARRが106.07億円です。前年同期比で+24%という形で順調に拡大しています。
事業別のMRRの前年同期比の伸びに関して、SPEEDA以外の事業に関しては、いずれも30%を超えることが実現できています。
昨年Quartz事業から撤退しましたので、Quarz事業を除いた数字を見ていく方が、実質を捉えていると考えておりまして、グラフの青色の線がQuartz事業を除いた連結売上高の推移を示しております。
第1四半期は39.65億円ですので、前年同期の28.82億円と比較して、前年同期比の成長率が+38%と順調な拡大を示しています。
利益面も同様にQuartz事業を除いた状態で見ていただきたく、それが青色の線です。第1四半期の数字が8.37億円ですので、6.40億円から+31%と順調に拡大しております。

SPEEDA事業ハイライト

続いて事業別に第1四半期の結果を見てまいります。
SPEEDA事業についてお伝えします。3月末のMRRは4.85億円。成長率が若干回復して、前年同期比+15%です。
SPEEDAのMRR増加には一定の季節性がございます。昨年第1四半期のQ on QのMRRの増加額は約1,300万円。比較して、今回Q on Qで約2,200万円増加しておりますので、季節性を考慮して、第1四半期は順調な成果を出せたと考えています。
前回の決算説明会から、開示をスタートした解約率です。
コロナの状況に入った昨年第2四半期から解約率が悪化してきております。結果としては、この第1四半期において、その悪化傾向をストップすることができたと考えております。
もちろんこの1.3%は過去と比較しても、かなり高い解約率であると捉えており、年内に1.0%の水準を目指して開発、コンテンツ、カスタマーサクセス一丸となって、価値を届けてまいります。
SPEEDA事業の第1四半期の売上高は、15.96億円です。この薄いグレーの部分が一定出てきました。これはエキスパートリサーチ事業の売上高です。SPEEDAの売上高の一定部分を、エキスパートリサーチ事業が占めてきております。
したがってMRRの成長率は+15%とお伝えしましたが、それよりも売上高の成長率は+24%と、MRRの増加を上回る形で売上高が増えている状況です。
エキスパートリサーチ事業がしっかり立ち上がってきています。その立ち上げのための投資で、利益率が若干悪化しております。EBITDA率は前年同期比で5.5%悪化しております。
先ほどもお話した通り、SPEEDA事業は下期に一定コストの偏重傾向がございまして、昨年通期のSPEEDAのEBITDAマージンは36.3%だったのですが、その通期の数字で見るとこれが5%程度悪化して、約30%を通期のターゲットとして考えております。約5%をエキスパートリサーチ事業を立ち上げるための投資に回すとご理解ください。
エキスパートリサーチ事業が順調に立ち上がってきましたので、そのための投資をしっかりやっていきます。

その他B2B事業ハイライト

続いてその他B2B事業についてお伝えします。
FORCASの3月末MRRは1.07億円。前年同期比+33%と順調に拡大しています。
FORCASやINITIALの売上はほとんどMRR起因、リカーリングのものですので、売上高の成長も同程度。INITIALを足した、その他B2B SaaS事業の売上高は前年同期比+33%と順調に拡大しています。
EBITDAは1,200万円です。FORCASは引き続き成長しておりますので、FORCAS Salesを含めて、この事業への投資は継続していきます。
なので今のほぼブレークイーブンの数値より若干悪化して、その他B2Bセグメントとしては通期は赤字を見込む。その代わり、しっかり成長させていくと考えております。
我々がIRをしていても、FORCASがどういうサービスなのか分かりにくいという声をよく受けます。なので、お客様の声が一番わかりやすいと思いますのでご紹介していこうと考えています。
ソニーマーケティング様ですね。ソニーグループ商品のマーケティングとセールスを手掛ける会社です。そこでFORCASをご活用いただいており、案件創出数が2倍以上になるという大きな成果が出ています。
少し長くなるかもしれませんが、ご説明させてください。まずどういう形でFORCASをご活用いただいているのか。FORCASを活用することで、例えばお客様から「この商品に興味がある。詳しく知りたい」というような問い合わせがあった際に、その企業がどのような企業かをFORCASのデータですぐに把握することができるんですね。問い合わせが来て、どういう企業かリサーチして把握し、答えるという手間がほぼなくなる。
なので、お問い合わせいただいた企業のことを、しっかり理解した会話がスピーディにできる。お問い合わせ対応がスピーディになりますし、しっかりその企業様のことを理解した話が展開できる。
次に、そもそもどういうお客様に対して価値を届け、セールスやマーケティングを展開していくのかということで、ターゲティングをデータとテクノロジーの力でクリアにしていくのがFORCASです。
FORCASでこういう属性を持つ企業に当たるべきだというものを、分析結果を用いて作成すると、どの企業が狙うべきお客様なのかという企業別のフラグを、SalesforceやMA(マーケティングオートメーション)などにスムーズに連携することができて、例えば営業企画的な人、経営企画的な人がターゲット顧客を決めて終わりではなく、ターゲティングを、フィールドセールス、インサイドセールスを含んだオペレーションにしっかりつなげることができます。
なので、FORCASのターゲット企業のフラグを活用して、それをシステム連携することで、外勤営業とインサイドセールスとの連携がスムーズになったという声をいただいております。
それに近い話ですが、どういうお客様にしっかり価値を届けていくか。FORCASのターゲティング機能を利用して、1to1に近い、よりお客様にしっかり刺さるマーケティングが、量を持って展開できるというのが特徴です。
1to1 マーケティングに関して、例えば数社やるのはマニュアルでやればいいので簡単ですが、それを数百社、数千社に拡大して量を取るのはとても難しい。
1社1社を深く理解して、例えばカスタマイズしたメールを送り、カスタマイズしたセールストークを展開するのが難しくなる。FORCASのデータを活用して、そこでシステム的な分岐を作り、例えばメール文面に企業の特徴を自動的に反映させることができます。そのようにターゲット企業毎のトークスクリプトを用意して、アウトバウンドの営業の成果が向上したとのことです。
その他にも外資系企業、北米進出企業など、FORCASオリジナルの、直感的にわかりやすい企業属性シナリオをご活用いただいておりますし、FORCASスコアというものがあって、どれだけその企業の契約を取れる、売れる確度が高いのかに相関性があるスコアの活用によって、例えばリソースが十分にあるときにはスコア50のところまでオペレーションを拡大する。そこで多数の商談が進んできて、全体のリソースがタイトになってきたら、新規のお客様はスコア70以上に絞った営業・マーケティング活動を展開していく。そのようなオペレーションの組み換えが動的にできるんですね。
データを用いて顧客起点のオペレーションを作っていく。その価値によって、案件創出数が2倍以上になったという例です。
FORCASの初期はスタートアップのお客様が多かったですが、今はNTTグループ様、NECグループ様、富士通グループ様といった大企業様にも広くご活用いただいておりますし、B2Bにおいて業界を問わずFORCASをご活用いただいております。
先日、FORCASとオンリーストーリー社の資本業務提携を発表しました。
これもFORCASのターゲティング情報を、より様々な施策に用いていただき、実際に成果を上げていただくことをサポートする動きです。
オンリーストーリー社が手がける「チラCEO」というサービスは、その名の通り決裁者をネットワークしたサービスです。なのでFORCASでまず企業ベースのターゲティングを絞ります。その中でチラCEOをご利用いただいているターゲット企業があれば、さらに人を特定してアプローチすることまでできます。そのようなABMの世界をオンリーストーリー社と提携して実現していきます。
我々自身チラCEOを活用していて、非常にFORCASと相性が良く、しっかり成果が出せることを実感しました。そういう経験を経て、資本業務提携に踏み込んでおります。
今後もこのようなFORCASオリジナルのターゲティングの価値を、様々なオペレーションに広げていき、具体的な成果につなげる取り組みを推進していきたいと考えています。

NewsPicks事業ハイライト

続いてNewsPicks事業についてお伝えします。
NewsPicksの3月末時点でのMRRは2.54億円。前年同期比で+38%と順調に拡大しました。前四半期対比では約1,100万円MRRは増えております。増加要因としては、法人事業の拡大が牽引した形です。
今回お伝えしなければいけない点は、チャートを見ていただいても分かる通り、昨年6月末の時点で大きくMRRが拡大しています。
昨年4〜6月は、コロナの影響もあり信頼ある情報へのニーズが高まり、有料会員が大きく増加したタイミングです。このタイミングで、NewsPicksのMRRは四半期単位で約4,500万円と非常に大きな伸びを記録しました。そこからちょうど1年が経つので、次の決算にはその反動が一定出てくると考えています。
具体的には、昨年第2四半期に大量に増えた個人会員、その年間契約の解約の影響が今四半期に出て、個人会員によるMRRは今四半期一時的に減少する見込みを持っています。
ただこれは一過性のもので、第3四半期からはリカバーし、その後順調に伸ばしていけると考えています。
続いて広告売上です。広告売上に関しては、昨年第4四半期に過去最高の売上を記録したというお話をしました。第1四半期についても引き続き好調で、グラフをご覧いただいても分かる通り、前年同期比で大きく拡大しています。
広告事業は季節性がはっきりしており、例年、第2四半期の広告売上高は、第1四半期より低くなる季節性があります。従って、第1四半期と同レベルの広告売上高は今の第2四半期には見込んでいないのですが、広告事業は引き続き好調ですので、前年同期対比では高い売上高を第2四半期も達成できると考えております。
なぜ広告売上高が好調なのかという点に関しては、前四半期と同じ要因ですが、動画広告です。広告売上の全体に占める動画広告の割合が引き続き上昇し、広告売上高の増加を牽引しています。
これがNewsPicksの全体の売上数字で、19.45億円。グレーの部分、その他事業に関しても、出版事業など好調に推移し、全体で前年同期の12.67億円から19.45億円。前年同期比で+54%の非常に高い売上高成長率を記録しています。
売上高が大きく伸び、利益面はどうかと申しますと、1.21億円から3.24億円と拡大しております。ただ、この利益率が第2四半期も継続するとは考えておりません。第1四半期好調だった部分の一部を、グループ全体で30%成長を継続的に達成するための投資に回していきたいと考えています。
第1四半期の報告としては以上です。
冒頭で申し上げたことと重なりますが、第1四半期は全体としてとても良い成果をお届けできたのではないかと考えています。来年以降、売上高成長率30%を継続的に達成し続けるため、今年の成果にコミットするのはもちろん、来年以降の成長を見据えた投資、事業づくりに第2四半期以降もしっかり取り組んでいきたいと考えております。

質疑応答

Q1:P10の計画比進捗に関して、通期利益は計画線の着地を見込むという説明。そもそもQ1の売上高は計画比どうだったのか? 仮に上回って推移したのであれば、その傾向がQ2以降も続き、計画通りの投資を行っても損益が期初計画を上回る可能性があるのではないか? 現時点で「損益計画は計画通り着地の見込み」と述べられる理由を教えて下さい。
佐久間:
事業別に多少デコボコがありますが、全体として計画に対してインラインの状況だと考えています。投資に関しても一部遅れてるものがありますが、2Q以降にもう具体的な投資項目、投資内容は見えておりますので、そういった意味で、損益計画は現在計画通り着地見込みというふうに考えております。
Q2:来期以降30%成長をするための組織づくりは現状何合目まで整ってきたと考えていますか? これまでやったこと、ここからやるべきこととあわせてご教示ください。
佐久間:
私と稲垣からお答えします。
SPEEDA事業の成長に関して、2つの点がポイントかなと思っておりまして、1つはエキスパートリサーチ事業の大きな拡大。エキスパートリサーチ事業は、SPEEDAをお使いいただいているお客様、日々リサーチに取り組むお客様に対して非常に相性が良く、さらなる価値を届けられるサービスなので、このエキスパートリサーチ事業をしっかり立ち上げて、SPEEDAと融合した価値を作っていきます。
それについて、まだまだ開発が必要な点、人員増強が必要な点など多々ありますが、第1四半期の結果としては、順調にできたかなと考えています。ちょっと何合目なのかは答えにくいですね。
もう1つはインサイドセールス、カスタマーサクセス、そういうレベニュー人員の増強の部分ですね。これまでQuartzという大きな赤字の事業がございまして、SPEEDAをはじめ、各事業がリーンに取り組んでいました。より分かりやすく言うと、セールスの人数やインサイドセールスの人数、カスタマーサクセスの人数というものを最低限で行ってきたと。
そこが一定成長を抑制している点があったと考えており、ここは先行して採用に投資し、しっかり育成のシステムをつくり、最高のレベニューチームを作っていきます。
この点に関しては、弊社のアドバイザーの福田さんですね。『THE MODEL』(翔泳社)の著者、マルケトジャパンの社長を以前やっていらして、今はジャパン・クラウド・コンサルティングの代表をされていますが、その福田さんにしっかり入っていただいていて、レベニューチームをスケールしていくために必要な採用、必要な育成体制の整備が、第1四半期、非常に順調に進んできたと思っております。
これはもちろんSPEEDAだけでなく、SPEEDAで成功例をつくった後に、FORCAS、INITIAL、NewsPicks Enterpriseなど、いろいろな事業に拡大し、これを我々の大きな強みにしていきたい。これも何合目とはお答えしにくいんですが、順調に進んできており、手応えを感じています。
それ以外の組織面、エンジニアの点は稲垣からお答えします。
稲垣:
そうですね、何合目というのは難しいですが、全体的に良い形で進められており、感覚としては半分くらい進められているかなと思っています。最重点投資領域であるエンジニア採用の、特にサービス開発に従事するチームの増強のところは、予定していた採用の半分強のオファー受諾まで完了しておりまして、非常に好調に推移しております。
もう1つ、全社のメンバーに対してITサービスを提供し、社内の生産性を上げていくエンジニアリングチームの増強に関しては、外部の各サービスベンダーの方々との協業や提携の座組は1Qをかけてしっかり組むことができていました。昨年までに見えていた課題に対する手当というものも、一律目処が立ってきている状況です。
ただ、今一気に人員を拡大しているところもありますし、コロナ下になってリモートで生産性を上げていく必要がある中で、売上が伸びていくにしたがって成長率に対して人員をそこまで増やさなくてもできるような仕組みは、まだまだ改善の余地があります。この点に対するチームの強化は現在下期に向けて注力してる最中です。この部分の改善の仕組みがしっかり作れるようになると、利益率のところにも貢献できると思っております。
Q3:株価が直近の日経平均下落以前から低迷していますが、その理由や背景として考えられることをご説明ください。
佐久間:
前回の決算後から株価が軟調な推移で、非常に責任を感じております。
原因として私が考えているのは2つです。売上高30%成長を継続すれば、当然今の時価総額より高い時価総額が正当化されるので、そのストーリーに対して、まだ信頼を得られていない点。そして利益の部分に関して、今年は来年以降の成長のために、かなり大きな投資をして利益を抑える。その来年以降の見通し、利益方針がクリアではないという点が問題だと考えております。
1点目に関しては、ひたすら実績で示していくしかないと考えております。我々の既存事業、新しい事業の成果を四半期ごとにしっかり説明させていただき、SPEEDAの解約率などの問題も解決していく。
2点目については、来年の通期計画のガイドラインを出す際に、その時点で来年以降の一定の事業ポートフォリオが見えておりますので、利益方針に関してもしっかり説明させていただきたいと考えております。
Q4:エキスパート事業に投資をされるとのことですが、今後の業績に与えるインパクトはどの程度お考えか。また、インパクトを与えるまでの期間をどのようにお考えか。
佐久間:
まずコストインパクトについては、決算スライドの中でご説明した通り、SPEEDAの通期での定常利益率35%のところに関して、5%を投じてエキスパートリサーチ事業をしっかり立ち上げていきます。
売上のところは、まだ事業立ち上げ段階でかなり不確実性が高いので、定量的な回答は控えさせていただければと思います。
インパクトを与えるまでの期間については、すごく難しいですね。すでにスライドでご説明させていただいた通り、売上高の伸びという点ではエキスパートリサーチ事業のインパクトは既にあると考えておりまして、それが今後大きくなってくるというような見通しを持っております。
Q5:早期のプライム市場への上場を目指すとのことですが、現状の時価総額が1000億円のラインとの乖離が開いてきているため、このままだと厳しいのではないでしょうか? プライム市場を目指すより先に東証一部への鞍替えを申請することは考えていませんか? この方が得策だと思うのですが、経営陣の方々のこちらに関しての考えをお聞きしたいです。
千葉:
私から回答します。おっしゃる通り、現在時価総額が1000億円を割っておりまして、その条件のままであれば、プライム市場への申請の定義を満たさないということになるのは、ご理解いただいている通りです。
他方で、申請するタイミングで1000億円を超えていれば良いという基準ですので、IRを強化し、今後も株価向上に注力していきたいと考えています。
東証一部への市場変更に関しては、こちらも基準がございまして、どちらも我々がすぐにできる状況ではありませんので、状況を冷静に見定めながら判断していきたいと思っています。現時点では2020年12月期の第4四半期決算時に発表させていただいた通り、プライム市場への申請を目指して、経営陣としては取り組んでいる状況です。
Q6:通期の投資計画を実行できなくなるとしたら、どういう要因が考えられるのか? 人員増計画の未達などか? 現状でそうしたことが生じる可能性をどう見ているのか?
佐久間:
昨年SaaSカンパニーを作って、SaaS事業で横断的に事業モデルを固めてきておりまして、端的に話すと、売上やコストの先見性を持ち、将来を一定の確度を持って見通せる形にできたと考えています。
これまでより売上、コストなどの見通しを確度高く持つことができるというのは、投資判断を早くできることを意味します。これは我々が新たに得た強みの1つだと考えています。
なので今では投資について、かなり機敏に意思決定できています。稲垣の説明にもあった通り、その中でもかなり大きな投資を占めるエンジニア採用に関しても、順調に進んでいるという状況です。
投資未達の可能性というのは、昨年もし同じような状況があったと考えると、それよりは確実に下がっていると考えております。最終的にどうしてもコントロールが難しいのは、おっしゃる通り採用の部分かなと考えています。採用に関してもかなりモデル化して、先行的に見れるようにはしていますが、そうは言っても、採用人数というのは少しずれるとコスト数値として大きくずれてしまうので、ここが未達の可能性としてはあるかなと。
ただ先ほど申し上げた通り、採用のキャパシティモデルを作って、先行的に採用に関するリソースを増やすなどの取り組みをして、未達の可能性を下げていきたい、しっかり投資できないようなことが起こる可能性を下げていきたいと考えています。
Q8:「NewsPicksは動画広告が好調」とのことですが、もう少し具体的に教えてください。(番組スポンサーが好調、広告主向け動画の作成が好調、など)また今後も伸びが期待できるでしょうか。
坂本:
ご質問ありがとうございます。動画広告が好調というのは記載いただいてる通り、番組スポンサーも広告主向け動画も両方が好調で、今後も伸びると思っています。
この背景には、NewsPicksの動画広告が認知されてきたことが大きな要因にはなりますが、それに加えて動画広告チームも非常に強くなってきております。昨年NewsPicks StudiosはCEOが変わりましたが、その中でも非常に士気高く動けており、その結果が出てきていると思っております。
Q9:広告単価は値上げできそうでしょうか?
坂本:
年間を通じて値上げをすぐに予定しているわけではありませんが、3月や12月というような繁忙期に限定しての値上げは考えております。需要が多いときも低いときも、現時点では同じ単価での販売をしているので、需要が多いときは高く、逆にそうでないときはお得な価格で販売できるように準備をしています。
Q10:SPEEDAの解約率1.3%は年間ベースでは、15%に該当すると思いますので、エンタープライズからMid顧客が多い中で高い水準と認識しています。何が原因であるか、足元では改善の推移が見られませんが、状況などお伝えいただける範囲で教えてください。
佐久間:
大きく2つ原因がございまして、1つはやはりコロナの影響です。特にコロナによって業績が大きく落ちた業界、もしくはそういう景況感の影響を受けやすい中小規模の企業のお客様の解約が一定出ております。
もう1つは、SPEEDAの価格体系を変えておりまして、SPEEDAを多数のID数でお使いいただいているお客様に関しては大きな価格変更はなく、SPEEDAを少ないID数で契約しているお客様には、持続的なカスタマーサクセス活動に我々がコミットしていくためにも、価格を引き上げています。
その関係で解約が起きている部分があります。なのでネットMRRの増加は、先ほど申し上げましたようにQonQで約2,200万円の増加と堅調でして、そこにはこの効果も一定出ています。ただ逆の効果として解約率の悪化というのが一定あり、大きくはこの2点だと考えております。
Q11:Please could explain about your desire to get Speeda back to +30% YoY growth rate - how will you do this and when do you think the growth rate will accelerate?
(SPEEDAの売上高成長率を30%に戻すことに関して、どのようなことをやるか。そして成長率を再加速するタイミングはいつ頃だと考えているか説明してください)
佐久間:
SPEEDAの成長率を30%に戻していきたいと考えています。そのために一番大きいのは、繰り返しになりますが、エキスパートリサーチ事業の立ち上がりだと考えております。
先ほどのチャートでお見せした通り、今でも売上高成長率に与える影響は一定でてきている。MRRでいうと前年同期比で+15%成長のところ、エキスパートリサーチ事業を含む売上高は+24%の成長です。
なので、正確な成長率再加速のタイミングは現状お答えできませんが、すでに一定の成果は出ており、このエキスパートリサーチ事業を順調に拡大していくことで+30%を目指したいと考えております。
Q12:いつも御社の決算発表は新興企業の発表の集中日となるため、参加者が視聴できなくなる機会損失が生じ、もったいないと思う。日程などもっと工夫できないのか?
千葉:
ご質問ありがとうございます。ぜひ前倒して決算を発表できるよう準備していきたいと思っております。これまで締め日から数えて45日ギリギリですとか、今日も43日後の公表になっています。今後は基本的に締め日の翌々月の月初には開示できるように、体制も含めて整えていきたいと思っております。
おっしゃっていただいた通り、集中日に重ならず、皆さまに参加いただけるように努力していきたいと思っています。次回、第2四半期は8月5日を予定してますので、ぜひ当日もご参加いただければと思っております。
Q13:SPEEDAのMRR成長率が前四半期から少し加速しており、恐らく新規獲得契約数が伸びていると考えておりますがどのような要因と見られていますか?
佐久間:
先ほどお話しした通り、価格改定の影響もございます。それ以外については、これも先ほどお話した通り、福田さんのご助力も得て、SPEEDAのリベニューチームが非常に強くなってきております。
マーケティングのリード自体も増えておりますし、そこから商談化に転換し、その商談からパイプライン化して契約につながる。このような各種転換率が向上しておりまして、結果として新規獲得が増え、MRRも増えているという状況です。各種転換率の向上ができているからこそ、スケールするために人員を増やす意思決定ができると考えています。
Q14:エキスパート事業の売上高の計上方法を教えてください。売上=顧客からの課金、原価=エキスパートへの支払で、利益率は相対的に低くなると考えてよいですか?
佐久間:
これは少し違っていて、エキスパートへの支払いを差し引いた、ネット売上高で売上高換算しています。そこがエキスパート事業の売上高の構成の説明ですね。
利益率に関しては、正直まだ見えていないです。事業の立ち上げというのは、どうしても利益率が低く、投資が先行していきます。その後定常的な状態に落ち着いて、利益率がどうかを見ていくので、エキスパートリサーチ事業に関して、定常的な利益率がこうだというところには、まだ達していないと考えています。
ただ、SPEEDA事業は35%を定常的な利益としており、これを下げていくということは現状考えていません。あくまで立ち上げのタイミングで、その利益率を一時的に犠牲にして伸ばしていこうと考えています。
Q15:EXPERT RESEARCH事業の売上は、リカーリングではなくて、チケット制のような形ででしょうか? 実際にはSPEEDAにアドオンして販売されるかなど、どのような営業スキームとなっているか教えてください。
佐久間:
大部分はチケット売上になっています。書いていただいている通りで、チケット制として先行的に、例えば100チケットを購入いただいて、それをエキスパートインタビュー、FLASH Opinion等でお使いいただくというような形です。なので、先行的に受注金額が出て、それが消化されるタイミングで売上認識されます。
Q16:株式市場は毎期30%の成長を全く織り込んでいないようですが、今後どのようにして市場と対話をしていくのでしょうか?
佐久間:
私と千葉からご説明します。
先ほどもお話した通り、株価が低迷していることについては責任を感じております。我々としては2つですね。30%の継続成長の確度を高めていく、それをしっかりコミュケーションしていくことと、来年の通期計画を出すタイミングで、明確な利益の方針もコミュニケーションしていくことを考えています。それがベースにはあるとご理解いただければと思います。
千葉:
私からはもう少し各事業のポートフォリオのところも踏まえてご説明できればと思います。
1つ目はSPEEDAについて、先ほどご質問もありましたけれども、規模の拡大に応じて成長率という意味では少し弱まってきていますので、そこを再度30%成長にどうやって持っていくのかというところを、実績も踏まえて示していきたいと考えています。
また2点目は、足下は順調に伸びているNewsPicksに関してです。どういうマーケットを対象にして、どうやって伸ばしていくのか、よく投資家の方からご質問いただきます。この質問に対してシャープに、かつ納得感のある説明がやりきれてないという思いが個人的にあります。
2点を含め来期30%成長のガイダンスを出す際に、どのようなポートフォリオで、どうやってそれぞれの事業伸ばしていくのかについて、より丁寧にご説明させていただきたいと思っていますし、現時点においては社内の議論、どういう進捗があるのか、どういうところに課題を感じているのかというところを、丁寧に対話させていただきたいと考えています。
Q17:エキスパートリサーチの売上高は開示しないのでしょうか。また、利用回数や単価などはいかがでしょか。その他に重要視しているKPIはありますか。
佐久間:
まだ事業の立ち上げで数値としても小さい段階ですので、売上高やKPIについては開示を控えさせてください。ただ、来年以降一定の規模になってくるタイミングで、しっかり開示を検討していきたいと考えております。
重視しているKPIについては、我々のSaaSに関する考えを活かせるなと考えております。サブスクリプションからマーケットプレイスへというのは、ショッピファイなど一般的なSaaSの進化の過程でもあり、マーケットプレイスも同じように、やはり継続してしっかり使ってもらうことが重要です。
サブスクリプションと比較すると、ユーザーの満足度合いに応じてアップセルとダウンセルが自動的に発生するものというような捉え方をしています。カスタマーサクセスが成功すれば利用が増え、利用が増えることはそのままアップセルを意味します。その逆もしかり。この部分が非常にシビアなのがマーケットプレイスの特徴だと考えています。
したがって、カスタマーサクセスが非常に重要なことはサブスクリプションと変わりません。既存のお客様にしっかり価値を届けて、そこからバイラルで利用してもらえる人がその会社の中で増えていき、利用回数が増えていく。そのような状態をつくることが重要。
なので、カスタマーサクセスを通じて、お客様の利用が継続し、利用頻度が向上していくことを重視しています。
Q18:昨年に比べFORCASの成長速度が鈍化しているように見受けていますが、市場のキャップが見えていないか、や、その要因について教えてください。
佐久間:
市場のキャップは全く見えていないですね。やはり今DXの波もあって、DXにはいろいろな種類がありますが、顧客起点でオペレーションを再構成するというのは、その中で非常に大きなテーマになっています。FORCASはそこにまっすぐ刺さるプロダクトだと、FORCAS Salesを含めて考えておりまして、この市場は非常に大きい。
やはりデータとテクノロジーを用いて、顧客をよく知って、そこを起点としたオペレーションを作らない選択肢はないのではないかと正直考えていて、実際我々に来る問い合わせ、イベント参加者等を見ていても、市場のキャップは全く見えていないと考えています。むしろ、どんどん広がっていると感じています。
一方、FORCASの成長速度が鈍化しているのは数字に表れておりまして、その要因としてはやはり解約率ですね。これは以前もお伝えしていますが、コロナの影響で一番大きく影響を受けたのがFORCAS事業です。やはりマーケティングの分野は、景況感の影響を受けやすいというのもありますし、約4年のプロダクトで、Must haveになっているユースケースがまだ大きく広がっていないという点もあります。
FORCASはともすれば、例えばターゲットリストを作って終わりと見られてしまうと、短期的に解約されてしまいます。ただ先ほどソニーマーケティング様の事例でお伝えした通り、顧客起点のオペレーションを作っていく、その中心にあるプロダクトだと理解していただければ、日々のオペレーションと接続して大きな価値を提供できます。そのための開発、カスタマーサクセス活動を進めております。
Q19:SPEEDA ID、NewsPicks有料会員数教えてください
千葉:
申し訳有りません、2019年第4四半期からお伝えしている通り、今期から基本的にMRRをベースに会話をさせていただきたいので、非開示とさせていただければと思っています。
なおNewsPicksの有料会員数に関しては、Appendixの中にビジネスモデルの図があります。具体的に申し上げると、P.35の右下に有料会員数が法人と個人合計の数字として18.1万人と開示されていますので、こちらをご参照いただければと思います。
Q20:①2QはNewsPicksの先行投資を積極化するとのことだが、エンジニアの採用など投資をしたくても簡単に費用を増やせない部分もあるのではないだろうか。②SPEEDAの解約率を抑制できた要因はどいういったところでしょうか。
坂本:
先行投資に関しては、1Qから採用を積極化しており、2Q以降の内定がかなり決まっている状況ですので、エンジニアの採用の遅れで投資を使い切れないということはないと思っております。それに加えて、先ほど佐久間からもありましたように、2Qは去年の反動が少しありますので、それをしっかりリカバーすべくマーケティングにも投資をしていく予定となっております。
佐久間:
②に関して、引き続きカスタマーサクセスの人員はしっかり拡大して、メンバーを育成し、価値訴求できる体制を作っております。解約率はどうしても遅行指標なので、それが少しずつ成果に現れて、第1四半期に関して解約率の悪化傾向をストップすることが出来たと考えています。
Q21:動画広告好調はマクロ要因ですか? それとも坂本さんの力ですか?
坂本:
こちらは僕の力ではなく、NewsPicksの動画番組の知名度が高まってきたのが1つ。あとは現場に非常に強いチームができているところ。この2つが要因になっております。今後もしっかり成長させていけるよう頑張っていきます。
Q22:Please can you explain about Speeda Edge (US) - why are you doing this? Historically Speeda is focused on core Asia markets, is this a change of strategy?
(SPEEDA Edgeになぜ取り組むのか説明してください。SPEEDAはこれまでアジア市場に注力してきましたが、これは戦略の変更ですか?)
佐久間:
SPEEDA Edgeはリーンな体制で事業を立ち上げている状況で、現在大きく投資をしているものではございません。アジア市場は引き続き伸ばしていく意思を我々は持っております。そのために今期は中国事業にフォーカスしており、中国ユーザー独自の機能に関しても現在開発を進めております。なので大きな方針は変わっておりません。
それに加え我々の価値探索の一環として、SPEEDAのデータ、コンテンツの力を用いて、SPEEDA Edgeという新たな価値創造にチャレンジしているとご理解いただければと思います。
米国は時価総額ベースで世界の60%を占める巨大なマーケットですので、「経済情報で、世界を変える」という我々のミッションのためには、必ずアプローチし続けないといけない地域だと考えております。そのための取り組みです。
Q23:大した投資をしていない1Qで前期比売上+38%出ていますが、+30%を達成するためにそんなに大きな投資をする必要があるのでしょうか? 1Qの好調さは一時的とお考えですか?
佐久間:
特にSPEEDAとNewsPicksですね。SPEEDAに関して、MRRの前年同期比成長率だと+15%、売上ベースではエキスパートリサーチ事業を加えても+24%と、30%に届いていません。
NewsPicksに関しても、前年同期比で見ると好調ですが、これは昨年第2四半期に+4,500万円とMRRが大きく増加した影響が大きい。これを継続的な成長につなげていかなければならない。そのために、我々はエンジニア採用を含めた大きな投資が必要だと考えております。
Q24:NewsPicksの年会費はいつ頃あげるのでしょうか?
坂本:
価格に関してNewsPicksのチーム内で議論しておりますが、現状決まったことはございません。こちらは決まり次第ご報告させていただければと思います。
Q25:新規事業の種は何か考えていますか?
佐久間:
常に考えていますね。やはり売上高30%を継続的に達成するためには、既存事業の伸び+そこに新しい事業が連鎖的に乗っかってくるような構成が不可欠だと考えています。
我々の強みは、前回の決算説明でもお伝えしている通り、データ・テクノロジー・エキスパート、この密結合ですね。この密結合でお客様の価値に刺さるプロダクトを作っていく。その3つを持っているからこそ、我々の中でコントロールできる変数が大きく、お客様に刺さる価値を持つプロダクトを作ることができる。
そのための新規事業というのは、我々社内で新規事業を育てていくような取り組みをやっていますし、役員や我々起点での新規事業というのも、常に模索しています。これは発表できるものができた時点で、発表させていただきたいと考えています。
Q26:NewsPicksの個人向け有料会員の増加ペース加速への道筋がクリアではないように感じる。今のコンテンツと機能から大きくは変えずに、認知度が上昇すれば加速するものなのか? そのためにはどのようなマーケティング施策が効果的なのか? コンテンツや機能を変えていくことが必要ならば、どういう施策が効果的なのか?
坂本:
NewsPicks上で自らの知見をマネタイズできたり、コミュニティを持てたりするような機能を企画していると、前回の決算説明会でお話させていただきました。やはりそういった有料会員向けの新しい価値を訴求する機能開発というのは、必要不可欠だと思っています。
今のマーケティングを踏んでいくことでも一定成長は見えますが、やはりそういった新しい価値をが必要だと思っておりますので、下期のリリースに向けて現在準備をして開発を進めております。2Q決算のタイミング前後あたりで、しっかりご報告できるようにしていきたいと思っております。
あとはマーケティングに関して、デジタル広告に加え、昨年テレビCMをやらせていただきましたが、テレビCMもエリアによっては一定効果はあると分かっておりますので、今後も検討していきたいと思っております。
Q27:NewsPicks事業のコスト構造を教えてください。 大きな費用としては、人件費、動画制作の外注費、マーケティング投資=広告宣伝費と考えればよいですか?
(注:決算説明会でご質問いただきましたが、お答えできなかった質問です)
千葉:
ご理解の通りです。最も大きい費用はサービス、事業を運営するための、制作、開発、営業、運営に係る人件費です。また、自社だけでは出来ない部分や外部の協力を必要とする部分、具体的には動画、広告の制作などは外注費が発生しています。その他、ご質問いただいたマーケティング費用に加え、個人有料会員の方々が決済された際の決済手数料、サーバ費用などが主な費用になります。
Q28:19年度の本決算説明会で22年度のNewsPicks事業の利益率は共通費を配賦後のEBITDA率20%を目指すと仰っていましたが、株主総会では各部門ダイレクトEBITDAが20%を目安と説明がありました。どちらを目指しているのでしょうか?
千葉:
記載いただいてる通り、2019年度の説明会でNewsPicksの利益率の目標を、2022年12月でEBITDAベース20%を目指すとご報告させていただいております。こちらについては現時点でこの目標を変えてるわけではありません。
しかし株主総会で申し上げた通り、全社の共通費がQuartzの買収後、増加しました。その後撤退があったものの、複数の事業ポートフォリオを運営している関係で共通費が少し膨らんできておりまして、今後の推移を見て、Direct EBITDA20%と修正をするかもしれないとご理解いただければと思っております。
2022年2月頃に発表させていただく2022年12月期の新しいガイダンスの中で、利益率ポリシーについてもご説明させていただきたいと思いますが、もし変更が生じる場合は、その際に考え方を丁寧にご説明させていただければ思っております。
Q29:昨年の決算説明会の時に、「NewsPicks上で自らの知見をマネタイズできたり、自らのコミュニティを持てるような機能も企画して」いるとの話がありましたが、それは現在、どのような状況になっていますか。
坂本:
先ほど回答しました通り、現在下期に向けて開発を進めております。
Q30:FORCASのTAMは総会の時に日本国内で200億と仰っていましたが、小さいように感じますが、FORCASの売上の天井は200億と考えればよいですか?
佐久間:
2つあるかなと考えております。まず200億円という市場自体が高成長である点。ABMのマーケットは今まだ規模が小さい分、例えばSFA市場やMA市場より早く成長しておりますし、MAやSFAも現状まだ成長率が高いのでこの200億円という数字はどんどん大きく引き上っていくと。
あと先ほどお話しましたように、顧客分析によるターゲティングを起点として、我々はいろんな価値提供を考えております。その周辺の分野を合わせれば200億円より高くなる。そのような周辺の分野にも価値訴求できる、そのTAMを目指せるプロダクトも出していきたいと考えています。その1つがFORCAS Salesですね。
Q31:期初に出した戦略的な投資=16億円の投資状況(消化率)を教えて下さい。
佐久間:
具体的な数字は出せないですが、先ほど稲垣からも説明があった通り順調に消化しております。ただ、そもそもの計画としての第2四半期以降に投資が本格化しますので、それを今後順調に消化していきたいと考えております。
Q32:現在の梅田さんのご活動、御社への貢献の状況を教えて下さい。個人的に、御社の規模比で小さくないとはいえ、一つの事業の失敗で創業者が退くということは未だに納得できない。他のことをされたくなったからなのかと不安にもなる。
稲垣:
本日も梅田とは取締役会で顔を合わせてはいたのですが、彼のようにユーザベースを立ち上げて、経営者という意味でも創業から13年やってきた人間が、ガバナンスやアドバイザーサイドに回って経営に参画してくれていることは、非常にポジティブに働いています。自分自身が主観的な立場では気づかなかった視点において、私たちがはっとするような質問や、具体的な改善案もくれているので、これまでの経営の形というのが一段レベルが上ってきています。
もちろん社外取締役の方々も非常に貢献していただいており、社外の知見を持ってガバナンスしていただいています。そこに加えて梅田のようなユーザベースを知り尽くしている人間がガバナンスの立場になった上で、客観的な視点でさらに議論を重ねて、経営自体を良くしていくということは、新しい試みとなるのではと思っております。
ご指摘の点は重々に理解している上で、今回の決断が結果として成功だったと言えるように、引き続き梅田を含めて経営チームとして、より良い経営を目指していければと思っております。
Q33:SPEEDAの解約率ですが、12か月平均なのでみえづらいですが月次で見た場合改善傾向はみられているのでしょうか。
佐久間:
月次でも当然ウォッチしておりますが、月次だと、個社の事情や、季節性によるばらつきがあります。端的に申し上げると、まだばらつきがあり、明確に改善しているというところには至っておりません。ただ、今後年末に向けて、それを改善できる感覚を持っているというのがシンプルな答えになると思います。
Q34:NewsPicksのその他事業も昨年同期比で倍程度の売上となっておりますが、「出版事業、NewsPicks Newschool事業、コンサルティング事業等」のうち、どのセグメントが特に伸びているのでしょうか。
坂本:
ご指摘いただいている3事業どれも伸びておりますが、特に去年はなかったNewSchool事業の売上が今回の数値には大きく反映されております。
Q35:エキスパートリサーチ事業の四半期売り上げは毎四半期積みあがっていくイメージでいいのか?
佐久間:
積み上がっていくイメージを持っております。先ほどお話した通り、既存のお客様から定期的に売り上げを得て、それが拡大していくことを目指すビジネスモデルで、かなりサブスクリプションに近いモデルなんですよね。なので売上が大きく上下するのではなく、ベースの売上があり、お客さんが増え、利用が浸透していくことで、積み上げで増えていくような売上の見通しイメージを持っています。
Q36:各事業の競合と、競合に対する弱み、その弱みを改善する方法を教えてください。
佐久間:
全事業を話すと非常に長くなってしまいますので、SPEEDAとNewsPicksに関してお話させていただきたいと思います。
SPEEDAに関して、グローバルの競合としてはFactSet、S&P Capital IQ等のグローバルプレイヤーがいます。リアルタイムに近い株価指標等のマーケットデータがSPEEDAの弱みです。そのデータが非常に重要な、例えばバイサイドのマーケットを大きく取っていくことには現状フォーカスはしていません。
ただ将来的には当然、「経済情報で、世界を変える」というミッションの中、SPEEDAを大きく伸ばしていく中で、その市場に取り組んでいく。そのときには、このリアルタイムマーケットデータが弱いという部分は、しっかり改善していきたいと思っております。ここはかなり投資が必要な部分です。
坂本:
NewsPicks事業に関しては、やはり国内で最も大きな会社は日本経済新聞社になりますので、参考にさせていただいております。その中で弱みになっているところは、大きく2つあると思っています。1つはコンテンツの量、もう1つはWEB版です。
NewsPicksも記者を抱えているものの、新聞社の1,000人を超える記者に勝てるほどの人材を採用しているかというと、そういう数ではないので、先ほども申し上げましたように、ユーザーの方が自発的にコンテンツを作り、そこでマネタイズをできる仕組みを作ることで、新しいコンテンツがNewsPicksの中で生まれる仕組みを作ることが改善点の1つ目です。
もう1つはWEB版。NewsPicksはアプリ、WEB版でいうとアプリの比率がすごく高いサービスになっております。WEB版を強化するために、現在「JobPicks」というキャリア向けのサービスをWEBベースで展開しておりますが、そこで得た知見を元にNewsPicks本体のWEBも改善を進めておりまして、時間はかかりますが地道に改善していこうと考えております。
Q37:御社のコアアセットである企業データ、オリジナルコンテンツ、エキスパートについて、量や、質(マネタイズなどの観点)で、最近の良い変化があれば教えてください。
佐久間:
企業データベースやオリジナルコンテンツに関して、3ヶ月単位で大きく変わるものではないので、やはり昨年から新しくグループに入ったMIMIRのエキスパートの部分ですね。これはSPEEDAでエキスパートリサーチ事業が立ち上がってますが、NewsPicksとも連携して、NewsPicks Expertという名前で、NewsPicks経由のエキスパートの数が少しずつ増えてきている状況です。
NewsPicksをご覧いただくと、毎回出ているわけではないと思いますが、「エキスパート一問一答」みたいなコーナーがあります。そこで実際SPEEDAのFLASH Opinionと同じ仕組みでエキスパートになれば、コメントの形で専門性を披露していただき、それによって意見を発信し、稼ぐこともできるということを具体的に表現しています。
NewsPicksのコメントと非常に近しい形ですので、それを訴求してNewsPicks経由でのエキスパートを増やしていく。まだまだ大きな成果が出ているものではありませんが、最近の良い変化だととらえています。
Q38:NewsPicks事業のNTTドコモとの取組は現状の有料課金売上よりも大きな売上になりうると考えてよいか?
坂本:
当然始めてすぐに現状の有料課金売上よりも上回るとは考えていません。しっかりとした事業貢献をすべく、今ドコモの販売拠点の方々も含めて、どういう形であれば一番成長させられるかという議論をしております。こちらも下期のリリースに向けて動いておりますので、2Q以降形が確定次第、ご報告させていただければと思っております。
Q39:AlphaDriveの足元どんな活躍をしているかについて教えていただけますでしょうか。
坂本:
AlphaDriveは現在コンサルティング事業および「Incubation Suite」という新規事業を大企業で立ち上げるときに使えるシステムの販売を進めており、両方とも好調に成長しております。
それに加えて、AlphaDriveのコンサルティングを導入している企業に、NewsPicksをクロスセルで販売する。また、NewsPicksの法人版が入っている企業にAlphaDriveのコンサルティングをセットで提供する手法がかなりうまくいっております。そういった意味で、NewsPicks事業とかなり密に数字を伸ばしてくれております。
司会:
たくさんのご質問をいただき、誠にありがとうございました。
以上を持ちまして、株式会社ユーザベース2021年第1四半期決算説明会を終了いたします。
※ご質問は原文のまま記載しておりますが、社名・サービス名等、一部修正しております。