[12日 ロイター] - サイバー攻撃を受けた米パイプライン最大手のコロニアル・パイプラインは12日、操業を再開したと発表した。攻撃により操業は1週間近く停止していた。

米南東部ではガソリン不足やパニック買いが起きているが、コロニアルによると、燃料供給網が正常に戻るには数日かかる見通しという。

ホワイトハウスは、コロニアルと引き続き緊密に連絡を取り、必要な支援を提供していくと表明。

サキ報道官は、12日夜の声明で「バイデン大統領とホワイトハウスは今後数日の状況を注意深く監視し、引き続き国民に燃料の買いだめをしないよう呼び掛けていく」と述べた。

コロニアルは、身代金を要求するランサムウエアによるサイバー攻撃を受け、ガソリンやディーゼル、ジェット燃料など1日250万バレルを輸送するパイプラインを7日に停止していた。

事情に詳しい関係筋によると、同社はハッカーの身代金要求に応じない方針という。

こうした中、米南東部ではガソリンのパニック買いが起きている。夏のドライブシーズンの始まりとされる5月末のメモリアルデーの連休を前に、ガソリンスタンドには長蛇の列ができた。

エネルギー業界は、国内には十分なガソリン備蓄があるとし、買いだめを控えるよう呼び掛けた。パニック買いにより、コロニアルのパイプラインが通っていない地域でも燃料不足が起きていると指摘した。

調査会社・ガスバディーのデータによると、ジョージア州アトランタ都市圏では、約60%のガソリンスタンドでガソリンが売り切れとなった。ノースカロライナ州でも65%、ジョージア州とサウスカロライナ州では43%が在庫切れという。

ガソリン価格も上昇し、米国自動車協会(AAA)によると、無鉛ガソリンは1ガロン当たり平均3ドルを上抜け、2014年10月以来の高値を付けた。

S&Pグローバル・プラッツのアナリストは、完全な回復には「少なくとも数週間かかる」と指摘し、米北東部の燃料在庫は今週、5年ぶり水準に落ち込むとの見通しを示した。