[シドニー 12日 ロイター] - オーストラリアの銀行最大手コモンウェルス銀行(CBA)が12日発表した第3・四半期(1─3月)決算は、キャッシュ利益が前年同期のほぼ2倍に増加した。豪経済の急回復で融資が拡大し、新型コロナウイルス危機を受けて計上した貸倒引当金の戻し入れ益も発生した。

継続事業からのキャッシュ利益は24億豪ドルと、前年同期の13億豪ドルから増加。コストがかからない通知預金が増え、資金調達コストが減少したため、収益性が高まった。

手数料収入など非金利収入も3%増えた。リテール銀行業務の手数料収入と証券子会社のリテール証券業務の手数料収入が増えた。

普通株式等Tier1(中核的自己資本)比率は12.7%と、前期から0.1%ポイント上昇した。

貸倒引当金の戻し入れ益は1億3600万豪ドルに上った。前年は貸倒引当金の繰入額として16億豪ドルを計上していた。3月末時点の同引当金の残高は65億ドルと、12月末の68億豪ドルから減少した。

利ザヤに当たる純金利マージンもコストがゼロの預金の増加と資金調達コストの低下で押し上げられた。企業向け融資は8.1%増えた。

CBAのマット・コミン最高経営責任者(CEO)は発表文で「融資ポートフォリオ全体で、健全な信用の質が維持された」と説明。コロナ危機対応の融資返済猶予措置が3月に終了した際も顧客はおおむね円滑に対応したと述べた。

CBAの株価は年初から12.9%上昇。主要株価指数(S&P/ASX200)の上昇率の2倍となっている。ゴールドマン・サックスは調査ノートで「事業の傾向は総じて同業者と整合的で、バランスシートは非常に強固だが、株価のプレミアムの15年平均が他行が16%に対し、45%となっているのを正当化するのは困難だ」と指摘した。