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[メキシコ市 10日 ロイター] - 米国の最大手労働団体、労働総同盟・産業別組合会議(AFL─CIO)は10日、米政府に対して、メキシコ企業による労働者の権利侵害について不服を申し立てたと発表した。

AFL─CIOは嘆願書で、テキサス州との国境にあるメキシコのマタモロスの自動車部品工場・トリドネックスの労働者が独立的な組合結成を拒否されたとし、これが北米の新たな通商協定USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に違反するとしている。

トリドネックスは米フィラデルフィア州に拠点を置く自動車部品カードンの子会社にあたる。カードンはコメントの要請に応じていない。

一方、現在トリドネックスにある労組SITPMEは、AFL─CIOの主張を否定。組合代表は「トリドネックスの大半の労働者は、SITPMEに加盟している」と述べている。

1994年に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)では、労働規定の施行手段がほとんどなかったため、メキシコの賃金は低迷し、現在、経済協力開発機構(OECD)37カ国の中で賃金水準は最下位となっている。

USMCAでは、こうした状況を改善するため、労働者が賃上げを要求できる権利を拡大している。これは、低い労働コストにより米国の雇用が奪われることを防ぐ目的もある。

USMCAの「Rapid Response Mechanism」では、メキシコと米国の企業は、結社の自由などの労働者の権利を確保できない場合、特恵関税の停止などの措置が科される可能性がある。

今回のAFL─CIOの嘆願書は、USMCAの下での初めての訴えとなり、その行方が企業や労働問題の活動家から注目されている。

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