[7日 ロイター] - 自動車メーカー各社が電気自動車(EV)向け設備投資を加速する中、EVバッテリーに使われるリチウムの価格が上昇している。リチウム生産各社は供給拡大に動くが、各社のEV新モデル導入が予定される2025年頃にリチウム供給不足になる恐れがあると専門家は指摘する。

ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターなどの自動車大手や部品メーカーは年初から、EV向けの巨額設備投資を発表している。

バイデン政権はEV普及とインフラ整備に向け、1740億ドルを投じる計画を発表。欧州連合(EU)でも同様の計画が進められている。こうした中、ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスのデータによると、リチウム価格は2020年4月以降59%上昇している。

テスラにリチウムを供給する米リベントのポール・グレーブス最高経営責任者(CEO)は、需要の急増について「業界にとり根本的な転換点」と指摘。短・中期的に十分な品質の鉱物を供給できるかが課題になると説明した。同社は年間のリチウム生産を倍以上に増やす計画を発表している。

リチウム業界の独立系コンサルタントであるクリス・ベリー氏は、「十分なリチウムが供給されるかという点で、今後数年が非常に重要になる。そのため、商品価格が上昇し始めている」と語った。

ベンチマークによると、リチウムの年間需要は昨年約32万トンだったが、多くの自動車メーカーがEVの新モデル導入を予定している2025年までに100万トン超に増える見通し。