[シドニー 10日 ロイター] - ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)が発表した4月の豪企業景況感指数は8ポイント上昇のプラス32と、過去最高を更新した。大半の業種と地域で堅調となり、企業は売上高、収益、雇用の大幅増を報告した。

企業信頼感指数は9ポイント上昇のプラス26と、こちらも過去最高を記録した。

NABのチーフエコノミスト、アラン・オスター氏は「4月の調査結果は多くの項目が調査開始以来の最高に達し、驚くべき内容だった。信頼感も過去最高を付けており、短期的な景況感の強さを示した」とした。

景気の反発局面を通過し、政府による企業の雇用支援策が失効したにもかかわらず、高水準の設備稼働率は設備投資の拡大と雇用活動の継続を示していると付け加えた。

設備稼働率は85.3%と、3月の82.5%から急上昇。

オスター氏によると、サービス部門と鉱業が景況感の上昇をけん引し、全業種がプラスだった。

全国販売指数は5ポイント上昇しプラス40と、過去最高を更新。収益性指数は8ポイント上昇のプラス33、雇用指数は7ポイント上昇のプラス22だった。

<豪小売売上高は堅調な伸び続く>

オーストラリア連邦統計局(ABS)が10日発表した3月の豪小売売上高は前月比1.3%増加した。販売が過去最高となったカフェやレストランが主にけん引し、2月の1.4%増に続いて堅調な伸びを示した。

ただ、第1・四半期の実質小売売上高(数量ベース)は0.5%減と、昨年第4・四半期の2.5%増からマイナスに転じた。

アナリストらによると、マイナスに転じた主因は消費者の支出対象がモノからサービスにシフトしているため。このデータはモノへの支出に大きなウエートが置かれているため、こうした動向をつかみ切れていないという。

キャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、Marcel Thieliant氏は、第1・四半期の実質的な消費は前期比1%増だったと予想。第4・四半期の4.3%増から鈍化したと見ている。

平均的なモノの価格を測る「暗黙の価格デフレーター(IPD)」の第1・四半期上昇率は前年比1.6%にとどまった。

BISオックスフォード・エコノミクスのチーフエコノミスト、サラ・ハンター氏は「これは経済全体でインフレ率が幅広く上向いている証拠はないという豪中銀の見方を裏付けるものだ」と指摘した。

豪中銀はこれまで、実際のインフレ率が持続的に目標レンジ(2─3%)に収まるまで利上げしないと約束している。

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