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英国は突然、インド太平洋地域に関心を持ち始めたのではなく、英国にはアジ ア太平洋地域の安定に貢献してきた長い歴史がある。英国は1950年から1953年まで続いた朝鮮戦争で戦った朝鮮国連軍の一員だった。いまも朝鮮国連軍司令部が韓国にあり、現在、横田にある朝鮮国連軍後方司令部の連絡将校として日本に駐在する9か国の連絡将校のひとりは英国の将校だ。英国は朝鮮半島の休戦体制を維持するための朝鮮国連軍の当事国のひとつであり、1950年以降、朝鮮半島の軍事情勢には強い関心を持ってきた。だから北朝鮮との国交を持ち平壌に英国大使が駐在してきた。ここ数年、英国がインド太平洋の地域の安定に関心を強めてきた背景は3つある。
(1)欧州内の政治との関連。2020年末、英国はEU(欧州連合)から完全に脱退して、すぐにTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に参加申請をした。「EUの一員でなくなって世界から孤立する道を選んだ」という誤解を防ぐために英国が選択したのはアジア太平洋地域との関係強化であり、日英関係の強化だった。(2)経済的動機。アジア太平洋は経済成長が著しい。英国経済の成長を図るため、アジア太平洋市場に参入するべく日本との交渉をして、わずか4カ月でEPA(経済連携協定)を締結した。
(3)外交的動機。英国はインド太平洋地域での英国海軍の活動を活発にして、日米が主導するインド太平洋構想に関与したいと考えている。それは米国が望むところであり、英米同盟を強化をすることになり、EU脱退後の英国の安全保障政策を強化することになる。
このように、英国の狙いは、多角的なものであり、マスコミがわかりやすく書くように「中国を牽制するために」という単純なものではない。中国が嫌がる「日米豪印」(クァッド)に加わるか加わらないかで英国が揺れるのは、安保上は参加したいけれど、中国との経済関係を考えると参加はやめたほうが良いという結論になり揺れ動いているから。一部では「日英同盟の復活」などと言うけれど、喜びすぎ。英国はもっとしたたかな国だ。欧州に位置しながら欧州大陸の沖にある島嶼国家として欧州内の離合集散を観察し戦略的外交を駆使し国力を強化してきた国家なのだから。
英国はBrexit後の世界でも、その遠方投入能力を示し、それなりの国際的な役割を果たしうることを示したいのだろう。中国は欧州まで空母を回す余裕はないが、イギリスにはその余裕があることも示したいのだろう。
日本では、国際的な協力関係を考える際、軍事的なことを別枠のように捉えられる傾向がある。だが、普通の場合、友好国は大枠で友好国なのだ。もちろん難しい関係の国々もあるが…。
1968年にスエズ以東から撤退した英国海軍がまた戻ってきた。歴史的にも日本と相性が良いのは海洋国家だ。是非クアッドにも参加してもらいたい。
イギリス政府は最新鋭の空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群をインド太平洋地域に派遣し、日本、インド、韓国などに寄港すると発表してします。

記事もご参考に
英海軍、空母を日本近海に派遣へ 香港問題で中国けん制(共同通信、2020年12月05日)
https://newspicks.com/news/5442297