(ブルームバーグ): 国際通貨基金(IMF)がインドの経済成長率予想を12.5%に上方修正したのは、ほんの2週間前のことだ。これは主要国中で最も高い成長率となる。だが現在、インドで新型コロナウイルス感染が急拡大する中、この強気な成長見通しへの不確実性が強まりつつある。

インドの政治の中心地であるデリーでは、感染拡大への対応で地元当局が講じた制限措置を受けてほぼ全ての商店が閉鎖された。通りには人けがほとんどなく、市場も閑散としている。そうした光景は、インドの国内総生産(GDP)の6%を占める金融都市ムンバイも同様だ。

だが現在のところ、モディ首相は全国的なロックダウン(都市封鎖)には動かず、各州に経済活動を継続するよう促している。そうした理由から、エコノミストらは自らの予想についてリスクを示唆しつつも、完全撤回までには至っていない状況だ。

格付け会社フィッチ・レーティングスは22日の発表文で、「この感染拡大の第2波は回復を遅らせる可能性があるが、フィッチの見方を変える可能性は低い」と説明。同社は2022年3月までの1年間のGDP伸び予想を12.8%に据え置いた。

インド準備銀行(RBI)も今月、今年度の成長率予想10.5%を維持。ただダス総裁は感染急増で不確実性は強まっており、経済活動の正常化が遅れる恐れがあると述べた。

インドは25日、34万9691人の新型コロナ新規感染者を報告した。1日当たりの感染者数としては過去最多。死者数は2767人だった。累計感染者数は米国に次いで世界で2番目に多い。

原題:India’s Double-Digit Growth Forecast in Peril as Virus Hits Hard(抜粋)

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