(ブルームバーグ): バイデン米大統領は富裕層に対するキャピタルゲイン税の税率を39.6%と、現行のほぼ2倍に引き上げることを提案する見通しだ。長年の格差解消を目指した一連の社会的支出の財源にするのが目的。提案内容に詳しい複数の関係者が明らかにした。

提案が公になっていないとして匿名を条件に語った関係者らによれば、所得が100万ドル(約1億800万円)以上の個人に対するキャピタルゲイン税率を現行の20%から39.6%に引き上げる内容。投資収入に対して現在課している付加税を合わせると、キャピタルゲインに対する連邦税の税率は最高で43.4%に達する可能性がある。

医療保険制度改革(オバマケア)の資金への充当を目的とした投資収入への課税3.8%は据え置かれ、金融資産のリターンへの課税税率が賃金・給与所得に対する課税の最高税率を上回ることになるという。

この報道を受け、米株式相場は急落。米国債市場では10年債利回りが上昇幅を縮小した。

ホワイトハウスのサキ報道官はこの日の記者会見でキャピタルゲイン税の計画について聞かれ、「どのようなものになるか、まだ最終調整中だ」と述べた。バイデン大統領は同提案について、28日に上下両院合同会議で行う就任後初の演説で増税策の一部として発表する見通し。

一方で共和党は、トランプ前大統領が実施した2017年の減税を維持することを強く主張。現行のキャピタルゲイン税の枠組みは貯蓄を促し、将来の経済成長を促進すると主張してきた。

上院財政委員会の共和党トップ、グラスリー上院議員はバイデン氏のキャピタルゲイン増税計画について、「投資が減り、失業を招くことになる」と批判。17年の減税の成果を称賛し、「もしそれが壊れていないなら、直さなくていい」と語った。

原題:Biden Eyeing Tax Rate as High as 43.4% in Next Economic Package(抜粋)

(市場の反応やホワイトハウス報道官らの発言を追加して更新します)

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