[20日 ロイター] - 米動画配信サービス大手ネットフリックスが20日発表した第1・四半期決算は、新規有料契約件数が市場予想を下回った。新型コロナウイルス感染拡大の影響で製作が遅延し、上半期に提供するコンテンツが少なくなったことが重しだった。

1─3月の新規契約件数は約398万件。リフィニティブがまとめたアナリスト平均予想の625万件に届かなかった。

ネットフリックスは第2・四半期の新規契約件数を100万件と予想。アナリスト予想は約480万件だった。

これを受け、時間外取引でネットフリックス株は約11%下落した。

第1・四半期の純利益は17億1000万ドル(1株当たり3.75ドル)と、前年同期の7億0900万ドル(同1.57ドル)から増加。一時項目を除く1株利益は3.75ドルと、アナリスト予想の2.97ドルを上回った。

売上高は71億6000万ドルと、予想の71億3000万ドルを上回った。

下期には多くの新作ドラマや映画の配信が予定されており、会員数の伸びが加速すると見込んでいる。

同社の新規契約件数は、新型コロナ感染予防の外出規制の影響で人々の在宅時間が増えた前年同期に1580万件と過去最高を記録した。同社はこの日、新型コロナ下でコンテンツの制作が遅れたと説明した。

株主への手紙で「2021年上期のコンテンツが比較的少なく、そのため会員数の伸びが鈍化したと考えている」と説明した。

アナリストは、新型コロナのワクチン接種がさらに進み、外出する人が増えると、動画配信サービスを自宅で楽しむ人が減ると予想している。

競合他社は、ネットフリックスに対抗するため多額の投資を行っている。ネットフリックスの会員数は3月末時点で2億0760万人だったが、ウォルト・ディズニーの動画配信「ディズニープラス」の会員数は3月に1億人を超え、ネットフリックスを猛追している。

ネットフリックスは第1・四半期に動画配信市場の勢力図が大きく変化したとは考えていないとしている。ただ、カンター・メディアによると、米国の第1・四半期の新規契約者の割合は8.5%と前年同期の16.2%から低下した。

第1・四半期には、人気コメディードラマ「The Office」の配信権をコムキャストの動画配信サービスに奪われた。また、英国、ドイツ、アルゼンチン、日本で料金を引き上げた。新規契約数は欧州で180万件、アジアで136万件、中南米で36万件だった。

米調査会社イーマーケターのアナリスト、エリック・ハグストローム氏は「競争が非常に少ない海外市場での失速度合いが予想外だった」と指摘している。

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