【解説】日本企業が、高級ブランドから学べること
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シャネル日本法人代表のリシャール・コラスさんが大好きで何度も講演やセミナーを聞いた。
コラスさんがいう日本の価値は
・静かに音を立てずにカチッとしまる日本車のドア
・飲食店で出されるお冷、水滴が手につかないように巻かれたペーパー
さりげなくも利他、おもてなしの精神に基づく細やかに性能やサービスでありそれらが日本の競争力、ニューラグジュアリーと。ラグジュアリーとは人の心に宿るものであり価格帯や粗利率ではない、と。
どちらかと言えばLVよりリシュモン傘下のブランドの戦略に近いのだろうが目指すよりは、上記の日本の価値で勝負したい。ウェブメディア業界にいて感じていることと、杉本さんの解説が重なり、非常に腑に落ちるインタビューでした。
ウェブメディアも、読者層の拡大を目指してPVを稼ごうとすると、読まれやすいタイトル、切り口ばかりになり、そのメディアや記者の独自性が犠牲になることが多いと感じます。
そうして読者のクリック争奪戦が激化すると、どんどんメディアの内容やカラーが似てきてしまいます。こうしたリスクを回避しなければ、と考える日々です。
メディアで「アメリカが一番進んでいる」という前提の話ばかり報じられるのも、望ましいことではないなと思いました。
私自身、規模の経済を活用する大企業ばかり取材してきましたが、もっと多様な企業、戦略をお伝えしていかなければ、と反省にもなったインタビューでした。欧州好きで以前欧州に住んでいたりグローバル企業で働いていたのですが、本当に日本には他と「違う」からこその価値を、日本の外に住んでいる方々は感じてくれていると感じています。
日本は古くは職人文化が根差していたように思います。秀でた技術と才能を持った職人が素晴らしいものを作って、その技術が人づてに継承されていく。
それが戦後、国際的な競争力を取り戻すために一気に欧米に追いつくために、産業化を進めてきた。それは日本がリードした生産効率の向上だったと思います。トヨタのカンバン方式、ファナックやキーエンスなどに代表される工場の自動化、つまりファクトリーオートメーションです。
これが物凄い得意だったからこそ、バブル前は世界を席巻する原動力であった。そこで失われたものが、職人気質で「非効率」だが価値のあるものを価値があると自信を持って言えないくなってしまった。効率性が最も重要で、規模や効率性でリターンを上げるゲームが物凄い勢いで日本の経営者に刷り込まれていった。ダイエーなどがその際たる例。
技術や生産主導の経営マインドが、ブランド価値や人材への投資を遅らせてきた。それが日本が失ってしまったものの一つだと思う。
ただ、私は全く悲観はしてはいません(前向きなのでw)。今、インターネットやSNSの浸透によりまた新たなブランドストーリーやマーケティングの手法が当たり前になってきた。この部分で日本が世界一になれなくてもしっかりと取り込むだけで十分で、それでよいコンテンツが輝く世界に回帰できる。
日本の職人気質を取り戻し、職人気質と効率性を両立させながら、新しいマーケティング手法をしっかり取り込めれれば、日本の差別化されたブランドをベースにしたコンテンツ(有形無形両方)が、再び世界を席巻する時代が到来すると期待しています。