[ソウル 15日 ロイター] - 韓国銀行(中央銀行)は15日、政策金利を過去最低の0.50%に据え置いた。景気の先行きについてより楽観的な見方を示しながらも、金融政策の方向転換を議論するのは時期尚早だとした。

同国では物価上昇圧力が高まっているが、政策当局者は新型コロナウイルスの感染拡大で景気回復が遅れる可能性を懸念している。

ロイター調査では、32人のアナリスト全員が据え置きを予想していた。

中銀は、堅調な輸出と消費の上向きが引き続き経済をけん引するものの、不透明感は根強いとし、新型コロナの感染状況を引き続き注視する方針を示した。

李柱烈総裁は記者会見で「世界経済と国内の活動が第1・四半期に改善したことを踏まえると、(今年は)3%台半ばの成長も大いにあり得る」と述べ、従来3%としていた今年の成長率見通しを3─4%に引き上げた。

一方で「新型コロナの感染再拡大がほとんど落ち着いておらず、ワクチン接種も2%程度にとどまっているのは憂慮すべきだ」と述べた。

韓国では今週、1日当たりの新規感染者数が700人前後と、1月以来の高水準で推移している。

アナリストは、住宅価格の上昇とインフレ高進で、中銀が2022年中に利上げを開始すると見込んでいる。ただ、新型コロナの感染再拡大による先行き不透明感を背景に、それまでは利上げを急がないとみられている。

3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.5%上昇し、14カ月ぶりの高い伸びとなった。

中銀は15日、インフレ率が2%前後で推移した後に低下するとの見通しを示した。当局者は不動産価格の動向も注視している。不動産価格が大幅に上昇すれば、多額の債務を抱える家計を圧迫するとの懸念がある。

コリア・インベストメント・​アンド・セキュリティーズの債券アナリスト、アン・ジェキュン氏は「(中銀は)第4・四半期末までにサインを出し、来年第1・四半期にも利上げする可能性がある」との見方を示した。また「コロナの状況を予測するのは難しいが、市場は景気判断の改善に着目しているようだ」と語った。

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