新電力で高まる「倒産ラッシュ」の可能性、東京商工リサーチが解説
コメント
注目のコメント
今冬のスポット価格の急上昇は、燃料制約によって売り入札が減ったことで、電力確保が難しくなった新電力が高額なインバランス料金(需要に見合う電力を確保できなかったときに新電力が払うペナルティ料)を払うよりはましだと、こぞって高い札を入れたことによるものだと、電力・ガス取引監視等委員会は分析している(タスクフォース資料の資料5別冊)。資料では「現在の市場関連制度は完璧ではなかったとも言える」としており、インバランス料金の仕組みが今回の事態を招いた側面が大きいとみている。
今冬の件で気になっていて釈然としないのが、なぜ燃料制約に至ったかのメカニズムだ。日本はLNGの輸入大国であり、かなりの部分が固定契約で賄われている。供給ショートの理由として、パナマ運河の渋滞を理由に挙げる説もあるがパナマ経由のアジア市場への輸入は2019年時点で2割に満たない程度と少ない。また、もともと2020年の冬入り前時点でLNGの在庫が少なったという指摘もある。電力・ガス取引監視等委員会の分析はかなり詳細に行われていると感じるが、一方で燃料制約を原因に挙げながらも、この発生原因に踏み込んだ説明については不十分だと思っている。
■参考資料
・内閣府_第7回 再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/conference/energy/20210329/agenda.html
・JOGMEC_天然ガス・LNG最新動向 p.40
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/008/916/20201217_Research2.pdf・超要約
電力小売事業者大手のF-Powerが3月24日、東京地裁に会社更生法を申請した。負債総額は2021年に入り最大の464億円。新電力業界では2016年4月に破産した日本ロジテック協同組合の負債163億円の約3倍に達する最大の倒産となった。
一般家庭向け電力の完全小売り自由化が始まり、今年4月で5年が経過した。だが、2021年は年始から電力卸売価格が異常なまでに高騰し、大混乱の様相を呈している。
・ポイント
新電力に参入した企業の苦戦が続いている。
電気というどこから買っても品質が同じものであれば、「うちで契約した方が、今より安くなります」という営業は容易。
ただ、その後安定して供給できるかはまた別問題。中には高騰した電気代を店舗や家庭に請求し問題になっているケースも。
事業者、消費者ともに入り口だけでなく、それが継続できるのかについても考えなければならない。会社規模や販売戦略より、会社としての方針が問題だらけだったと思います。
「商売をする上で重要なのは、競争しながらでも道徳を守るということだ」
大切な姿勢ですね。
「不適切」か「合理的」か エフパワーに改善指導
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25910880Z10C18A1X93000/