[ドバイ 12日 ロイター] - イランのザリフ外相は12日、11日に同国中部ナタンズの核施設で発生した異常事態はイスラエルによる攻撃と非難し、報復措置を取ると明言した。国営テレビが報じた。

イラン当局は11日、核施設の異常事態を「テロ」と断定し、犯人に対して行動を起こす権利があると強調した。

イランと主要国は先週、2015年の核合意復活に向け「建設的な」協議を行った。

ザリフ外相は「シオニスト(イスラエル)はわれわれの制裁解除に向けた進展を容認しないと公言しており、復讐を狙っている。しかしわれわれはシオニストに復讐する」と述べた。

複数のイスラエルメディアは、匿名の情報筋の話として、イスラエルの対外諜報機関がナタンズの核施設への行動を成功させ、ウラン濃縮作業を数カ月遅らせたと報じている。

イスラエルのネタニヤフ首相は12日、イランが核兵器開発への努力を決して放棄しておらず、イスラエルはイランによる核兵器開発を決して容認しないと表明した。

ナタンズのウラン濃縮施設の多くは地下にあり、 国際原子力機関(IAEA)による査察対象。

イラン外務省の報道官は12日の記者会見で、ナタンズで発生した異常事態は「人類に対抗する行為」と非難した。施設の汚染や犠牲者はないという。

報道官は「わが国の核専門家が被害を調べており、被害を受けたウラン濃縮の遠心分離機はより高度な装置に置き換えられる」と述べた。

米ホワイトハウスのサキ報道官は「米国による関与は一切ない」と言明。「原因や影響に関する憶測に付け加える情報は何もない」と述べた。

ドイツ外務省の報道官は、記者団からの質問に「こうした出来事は核交渉に悪影響を及ぼしかねない」とした。

先週6日には、イラン核合意を巡る当事国の対面協議がウィーンで始まり、英国、フランス、ドイツが仲介役を務める形で、核合意への復帰を目指す米国とイランの間接協議が行われた。

米・イランの間接協議は14日に再開される見通し。サキ報道官は「困難かつ長い」協議になることが見込まれるとした上で、イラン側から「参加方針に変更があることは示唆されていない」と述べた。

また米政府高官は、イラン政府がナタンズ核施設での異常事態を受けて協議のアプローチを変更すると確信する理由はないとしつつも、「断言するには時期尚早」とした。

「イランが2017年以降に導入された全ての制裁措置の解除を要求し続ける場合、合意はならず膠着状態が続く」という米国務省高官が先週示した見方に言及し、「イランがより現実的なアプローチを取ることを望む」と述べた。

*内容を追加しました。