[東京 9日 ロイター] - ANAホールディングスは9日、ビジネスジェット(BJ)事業で2023年に売上高10億円を目指すと明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大が続き、旅客需要の本格回復の時期が見えにくい中、傘下の全日本空輸、格安航空会社ピーチ・アビエーションに続く新たな収益機会として位置づけ、事業拡大を狙う。

BJは時間を有効的に使えることやプライベート空間などが評価されており、同社は定期便の運航していない区間・時間帯でのフライトのニーズ、感染対策としての需要が高まっているとみている。

ANAHDが51%、双日が49%を出資し、18年に設立したチャーター手配事業会社ANAビジネスジェットは、世界の運航会社40社以上と業務提携。機材は持たず、顧客の要望に合わせたフライトプランを提案する。同社の片桐純社長は、コロナ前の19年と比べ、コロナ禍の20年は「成約が1割強、問い合わせは3割近く増えている。毎月20件近く問い合わせがある」と説明した。

当初は設立3年で単年度黒字化、5年で累損解消、10年で売上高10億円の目標だったが、19年から2年連続で単年度黒字化を果たしており、新たに4年で累損解消、5年で売上高10億円の目標を掲げた。片桐社長は「日本市場はまだ欧米に比べると小さいが、潜在需要を確信している」と述べ、ウェブ会議の浸透などで完全にコロナ前には戻らないが、「商談などで対面による対話の価値は今まで以上に高まる」との見方を示した。

19年の利用件数は、BJで日本から海外の目的地へ渡航するグローバルチャーターが全体の約3割、定期便で海外を訪れてBJで域内を移動するエリアチャーターが約6割を占めていたが、コロナ禍の20年は、エリアチャーターが約25%にまで下がる一方、技術者派遣などが増えたグローバルチャーターが約5割まで伸びた。国内チャーターは約10%から約25%に増えた。

日本航空もBJのチャーター手配事業を展開しており、同社広報によると、コロナ禍を受けて「国内チャーターの引き合いと受注は増えている」と話している。

(白木真紀)