[ワシントン 8日 ロイター] - 米国家情報会議(NIC)は8日、2040年の世界情勢に関する報告書を発表し、同年までに疾病や貧富の差、気候変動、各国内および各国間の紛争がより大きな課題になるとの見通しを示した。また、これらの問題の一部は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)ですでに悪化しているとした。

報告書は、軍事力の変化や人口動態、テクノロジー、「統治モデルを巡る対立の激化」によって、中国と米国をはじめとする西側諸国の間で競争関係が強まると見込みだと指摘。

地域の勢力や非国家主体の影響力が拡大し「紛争が起こりやすく、不安定な地政学的環境」となり、国際協力が弱まる可能性があるとした。

また、気候変動、疾病、金融危機、技術的混乱などの課題は「ほぼ全ての地域や国で、より頻繁かつ激しく出現する見通しだ」とし、「国家や社会全般に負担をかけ、壊滅的な打撃を与える可能性もある」とした。

300万人以上の死者を出している新型コロナのパンデミックについては、第二次世界大戦以来最大の「世界的混乱」であり、その影響は何年にもわたって続くとの見通しを示した。

新型コロナは、医療体制の格差を露呈し、公的債務の拡大、国家主義や政治分極化の加速、格差拡大、政府への不信感の高まりにつながったほか、国際協力の欠如も浮き彫りにしたとした。

報告書では2040年の世界情勢について5つのシナリオを想定。最も楽観的なシナリオでは、民主主義の再生で各国政府は「科学研究と技術革新をよりうまく促進し、好景気をもたらし」、国内のストレスへの対処や国際的なライバルに立ち向かうことが可能だとした。

一方、最も悲観的なシナリオでは、新型コロナウイルスと地球温暖化によって世界の食糧供給が壊滅的な打撃を受け、暴動が起きるとした。