[東京 31日 ロイター] - 経済産業省が31日公表した2月の鉱工業生産指数(速報)は前月比2.1%低下の95.7となり2カ月ぶりのマイナスとなった。半導体不足による自動車減産が響いた。ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は前月比1.2%低下だった。日本経済のトレンドを左右する同指数はコロナ禍前の昨年2月の水準99.5を回復できない状態が続いている。

<生産予測はルネサス火災、感染再拡大織り込まず>

業種別では自動車が前月比8.8%と大幅に減産となったのが響いた。指数低下の3分の2が自動車の影響だ。このほか、電気・情報通信、化学工業、鉄鋼・非鉄金属、パルプ・紙、石油・石炭製品なども減産となった。無線通信機器や、洗剤・界面活性剤、化粧品などが減少した。

企業の生産計画に基づいた3月の生産予測は前月比1.9%低下、4月は同9.3%上昇となっている。基調判断は「生産は持ち直している」で据え置いた。予測通りならば4月の生産は102.6となり2019年5月以来の水準を回復する見通し。3月は93.9となる。昨年10-12月の生産指数は94.6であったため、ことし1-3月の生産の前四半期比は「プラスを確保できる公算が大きい」(経産省幹部)としている。

もっとも、調査時期からみて「ルネサスエレクトロ二クスの火災(による半導体不足)の影響は織り込まれていない」(経産省幹部)ほか、3月以降の新型コロナウイルスによる緊急事態宣言解除や最近の感染者数再拡大の影響は織り込まれておらず、今後の動向を注視する必要があるとしている。

*経産省の発表資料は以下のURLでご覧ください。

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/index.html [http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/index.html]

*内容を追加しました。

(竹本能文 編集・グラフ作成:内田慎一)