株式会社ユーザベースは2021年3月25日に、第13回定時株主総会を開催しました。代表取締役Co-CEOの稲垣が議長を務め、すべての審議を終了いたしました。
本記事では株主の皆様からいただいた、総会での質疑応答およびパネルディスカッションについてリポートいたします。
(報告事項パートにつきましては、2020年12月期決算の内容を中心にお伝えいたしました。決議事項の議案については招集通知をご参照ください)

株主総会

稲垣:
報告決議に先立ち、皆様にユーザベースのことを知っていただきたく、私からユーザベースについて説明させていただきます。
コロナの影響で世の中の環境変化が著しく大きい中で弊社を信じて投資してくださっている皆様には、本当に感謝しております。改めて皆様にユーザベースの成り立ちや、経営に対する思い、今後の成長についてお伝えできればと思います。
ユーザベースは「経済情報で、世界を変える」というミッションを掲げております。
創業から、ビジネスパーソンの方々が何か情報がほしいと思ったときに、ユーザベースの製品にアクセスすれば必ず情報が手に入る。そんな世界を作りたいという思いから、13年間経営をしてまいりました。
創業に至った原体験は、共同創業者でありビジネスサイドを担当してくれていた梅田と、同じく共同創業者であり、現在は顧問をやっております新野にありました。
彼らがコンサルティングファームや投資銀行、事業会社の投資部門で働く中で、クライアントから仕事を受けたときに、まずその企業の情報や競合の情報、業界構造を調べた上で提案に入っていくのですが、事前情報を調べていくプロセスが全て同じような過程を経る中で、その業務自体が非常に非効率でした。
なかなか体系化されたデータベースが無く、そういったツールを使っていても、結局Google検索や国会図書館に頼って、その後不足したデータを毎回手打ちしてExcelにまとめるような日々を送っていたので、本来クリエイティブな仕事をしなければならない方々が非効率な仕事にまみれてしまっている状況を変えられないか? というところで創業に思い至ったのが最初の原体験です。
この原体験を、梅田が創業事業であるSPEEDAの原案を描いて私のところに持って来ました。私は梅田と高校の同級生で、当時エンジニアの仕事をしていました。彼からはなぜBtoBの世界がこんなに遅れてしまっているのか、BtoCの世界はGoogleやiPhoneなど、いろいろな技術発展しているのに、BtoBの世界はなぜこんなに非効率になってしまっているのか。これを変えることはできないのか。変えられるのであれば大きなビジネスチャンスがあるのではないか、と一緒に起業しないかという相談を持ってきてくれました。
私は全く逆の景色のところで、実際のBtoB製品を作っていましたが、技術選定がしにくいような納品型のシステムばかりで、開発フローも含めて限界を感じていました。もっと良い製品を世の中に送り出していくためには、Webサービスの形で――今で言う「SaaS」ですね。もっと新しい技術に挑戦したり、エンジニアのパワーをもってビジネスを活かしていくようなことができるのではないかと感じていました。
ですので、それぞれの思いは逆方向からであったかもしれませんが、最終的に生み出したいものは1つの形で一緒にやっていけるのではないかと感じて、新野を含め3人で創業したのが最初の思いとなります。
まず創業事業であるSPEEDAに一丸となって向かっていきました。
ただその過程の中で、最初はBtoBにこだわっていたんですが、やはりビジネスパーソンの方々が日々情報を取得することを考えると、可処分時間の中で、朝起きたときや通勤時間など、常にビジネス情報を取得し続けるということ自体が、ビジネスパーソンにとって当たり前の行動であります。
なので、そういったシーンでも役に立てるような、ビジネスパーソンの方々にとっての全てのインフラになることを掲げたときには、BtoBにこだわる必要はないのではと思い、BtoB、BtoC全ての領域で経済インフラになりたいと考え、このミッションを掲げることにしました。
13年経った今、その結果としてこれだけのサービスラインナップを持つことができております。
BtoBの領域は創業事業であるSPEEDAを主力として、そこから派生してスタートアップ情報のINITIALですとか、BtoBマーケティング支援のFORCASなどをラインナップとして拡充してきております。
BtoCの領域では、当時の思いが形になったNewsPicksを主軸にして現在も展開してきております。
その他、コンサルティング事業のAlphaDriveや、昨年買収したエキスパートネットワークのミーミルなど、展開の幅を広げているというのが足下の状況です。
こういった複数の事業展開を可能としているのは、ユーザベースグループに大きく3つのコアアセットがあるからだと整理しています。このコアアセットがあるからこそ、ユーザベースの製品は常に強い競争優位性を持って展開出来ているのではないかと考えております。
1つ目は昨年買収したミーミルや、資本提携をしたGlobalWonks、またNewsPicksのプロピッカーやピッカーの皆様の情報を元にしたエキスパート領域の情報ですね。
ここはエキスパートの皆様から生み出される知見が大きな価値になっているのではと考えています。
2つ目はデータ領域です。SPEEDA、INITIALのような、これまで事業提携させていただいているデータサプライヤーの皆様の情報や、弊社独自に生み出している情報を組み合わせることで、経済領域のデータベースとしては日本トップクラス、データの内容によっては世界トップクラスの情報を有することができております。
3つ目はテクノロジーチームです。創業から私と一緒に尽力してくれているメンバーたちとともに、私たちとしてはかなり高い技術力のチームを作ることができていると自負しております。
現在9名の担当役員・フェローと150名を超えるエンジニアチームがいますので、何か新しいサービスを作りたいとビジネスサイドのメンバーが提案を持ってきてくれたときには、彼らの思いを形にして、それをもって多角展開することを可能にできているのではないかと思っております。
このコアアセットを活かしていくことで、さらなる多角展開が可能になっているのではと考えています。この図は幾つかのところでのイメージとなりますが、ここに書かれているような顧客ニーズに最適化されるプロダクトを作っていくことで、現在の成長を実現できているのではないかと考えております。
直近の事例として2つご紹介させていただきます。
この2つはM&Aの事例になりますが、彼らの強みとコアアセットを活かすことで事業発展を形にしてきました。
上の方のミーミルに関しましては、エキスパートネットワークの力とSPEEDAとテクノロジーチームのパワーを掛け合わせて、SPEEDAのプラットフォーム上に、トレンドやトピックに合わせたエキスパートの知見を載せて、そこで情報を得ていただく仕組みを可能にしております。
後者の事業展開に関しましては、AlphaDriveのコンサルティングの力とNewsPicksのコアアセット、そこにテクノロジーチームを掛け合わせて、しっかりとコンサルティングを入れた形で、NewsPicksの法人版の導入をやっていたり、新規事業のインフラとなるような「Incubation Suite」という製品をリリースすることができております。
こういったイメージで今後もコアアセットを活かして、事業の多角展開をやり遂げていきたいと思っております。
弊社はBtoB、BtoCともに、ビジネスパーソンの方々に日々使っていただけるようなインフラになりたいと思っておりますので、月額でしっかり使っていただくサブスクリプション型のサービスを意識して事業づくりをしております。
そのため、MRRというのを経営の最重要指標として私たちは考えています。MRRというのは、継続課金による月次収益のことを指します。そのMRRが2020年12月末で8.4億円、ARR、年間では100億円を超えることができておりまして、直近3年間の平均成長率に関しても34%を超えることができております。
今後のユーザベースの成長方針としては、この成長率をより高く維持していきたいと思っており、2022年から毎年30%の成長率を掲げていきたいと思っています。
最終的に今見えている範囲では、7年後のスコープを意識しており、2028年には売上高1000億円を達成していきたいと考えています。
もちろん成長率だけでなく、収益に対してもしっかり規律を持って結果を出していきたいと思っておりますが、まだ私たちの規模感では、収益を気負いすぎて、そちらに意識を向けることではなく、しっかりと規模で市場をとっていくことを重要視していきたい考えていますので、重要な目線としては売上高。ユーザベースとしては、この売上高をしっかり上げていって、より多くのビジネスパーソンの方々に貢献していきたいと考えています。
最後に、こういったコアアセットや多角展開を可能にしている一番の要因だと思っているのは、私たちには信頼できるチームがあるからだと考えています。この強いチームがあるからこそ、お互いに背中を預けて、様々な事業に挑戦できているのではと思っています。
そのためには共通の価値観がすごく重要で、せっかく背中を預けあっていても、バラバラな価値観であっては1つのチームとしてまとまっていくことができません。その中心となる価値観として「The 7 Values」というものを掲げ、この価値観だけは共通のものであるとしながら、多様な能力や職能が活かされるような世界を作っていくこと考えて、これまで経営してきました。
こういった信頼に基づいた経営チームを作っていくことで、一丸となって今後も成長を目指していけるのではと思っております。
以上がユーザベースの説明となります。
最後に、本日総会後のパネルディスカッションをご用意しています。そこでは株主の皆様に、今お話したようなユーザベースの経営メンバーたちが、どのような思いで経営をしているのか、人柄や顔を含めて知っていただければと思っておりますので、お時間の許す方はぜひご参加いただけましたら幸いです。

株主総会 質疑

稲垣:
それではこれより質疑応答の時間とさせていただきます。進行方法について説明いたします。まず昨日までに頂戴したご質問に回答させていただきます。次に本日オンライン・会場でご参加いただいている株主の皆様よりいただいたご質問に回答させていただきます。
ご質問の内容に応じて、私を含む各担当役員から回答させていただきます。それでは、まず前日までにいただいた質問について、千葉より回答申し上げます。
千葉:
執行役員CFOの千葉と申します。事前に2点ご質問をいただいておりまして、それぞれ会計とIRに関するご質問ですので、私から回答申し上げます。
正確を期すために、ご質問の内容はコメントいただいた通り全て読み上げさせていただければと思います。
1問目、繰越欠損金に係る繰延税金資産について。
招集通知のP5に記載してある繰越欠損金に係る繰延税金資産とは、将来の課税が減少することにより、EPSが増加することを表しているのでしょうか。基本的な事で恐縮ですが、本事象がPLにいつ・どの程度の影響を与えるのか教えていただけるとありがたいです。
こちらに関しましては、昨年Quartz事業から撤退したことによりまして、ユーザベース単体において、税務上の繰延欠損金が生じたことによるものになります。繰延欠損金は、監査法人との協議の中で、9年間の期限を時間軸として置き、翌事業年度以降に課税所得が生じた場合は、その課税所得の50%を充当できるため、課税所得の50%分の節税効果が見込めるというものになります。
本事象がPLに与える影響についてですが、PL上は法人税等調整額という形で調整されてしまいますので、非常にポジティブになるというよりは、法定実行税率である30%となり、PL上の税負担金がぶれないところがメリットかなと考えています。
一方でキャッシュフロー上では明確なプラス効果があります。今回計上した繰延税金資産約30億円は、将来の30億円分の節税効果により、キャッシュがアウトしない形になりますので、このキャッシュフロー上のプラスを享受できると見込んでいるとご理解いただければと思います。
続きまして2問目は株価及びIR方針について。
見通しの良い決算を発表したにも関わらず、株価が下げ止まらない状況です。貴社はIR部門の力が弱いのでは無いでしょうか。IR方針、IR体制について教えてください。
こちらに関してはご指摘の通り、2月10日に決算発表した後、翌日の祝日を挟んで株価が大きく下がり、反転できない状況にあるかと思います。今回新たに売上成長率30%を継続的に達成していくという経営方針を発表しておりますが、この蓋然性を含め実績をしっかり出していくことによって、グロース銘柄として投資家に新たに注目してもらい、株価の上昇につなげていきたいと考えております。
Quartz撤退後のエクイティストーリーの投資家への浸透に現在注力しているところでございますので、引き続きご支援いただければ幸いです。
なおIRに関する体制ですが、現在2名のCEOと私CFOと数名のメンバーで行っています。
4Qの決算公表後は非常に注目をいただいておりまして、約100名の投資家・アナリストとミーティングさせていただいています。
ただ海外投資家からの注目度は、徐々に上がってはきていますが、まだまだ知名度が低い状況かと思っておりますので、海外投資家の主にグロース投資家との面談の件数を増やすことで認知を上げ、企業価値向上に反映させていきたいと思っておりますので、引き続き応援いただければと思います。
以上、私からご回答申し上げました。
稲垣:
次に本日オンラインでいただいたご質問について回答いたします。
次のご質問が社外取締役のプロジェクトへの関与についてです。
2020年12月の決算発表で、社外取締役がプロジェクトに参画されることを発表されていましたが、経営と執行の分離の観点からどのようにお考えでしょうか。
こちらに関しましては、管理担当役員の松井から回答いたします。
松井:
管理担当役員の松井から回答いたします。
我々の取締役会でも、取締役会のあり方について議論を重ねてきまして、モニタリングを基本としたアドバイザリーボードというものを目指しております。
基本的には業務執行を監督する形で社外取締役に関与していただきながら、必要に応じて経営に関するアドバイスをしていただく形を取っています。
具体的な例で申し上げると、例えば本年度ですとサクセッションプランニングや取締役の実効性評価や役員報酬設計などといったガバナンスに関する事項に関与していただいています。それから事業の経営会議に参加いただき、経営に関するアドバイスをいただくなど業務執行をしない形で、あくまでも経営に関するアドバイスをプロジェクト単位でいただくような形を取っております。このように執行と監督をしっかり分離させてた上で、より事業に関する解像度を上げていただき、より高いレベルでの経営アドバイスをいただけるという、会社にとって非常に良い制度となっていると考えております。以上です。
稲垣:
では次の質問に移ります。次は監査法人についてのご質問です。
監査法人変更の理由を教えてください
千葉:
私から回答申し上げます。今回変更に至った経緯も含めてご説明できればと思います。
今回トーマツさんから、昨今の会計士不足の観点から、リソース上なかなかチームが組成できないというご相談をいただいたのがきっかけになります。
その中で我々としましては、昨年Quartz事業から撤退し、現時点においては海外部門の売上がかなり下がっていること。また、新しい成長戦略の中では、まず国内の力強い事業を更に伸ばしていくところに主眼を置いていくこと。そのような背景の中でどのくらいの監査報酬と、どのくらいのチームを用意してもらえればいいのか両者で話し合ってきました。
また他の監査法人からもご提案いただく中で、結果としてはチーム体制とチームの熱意、あとは監査報酬、またこれまで我々はIPOの前からトーマツさんからの監査を受け続けてきていることもありまして、ここで新たな視点を入れた監査を受けるのも良いのではないかと議論し、総合的な議論の結果、今回和泉監査法人さんにお願いすることに至っています。
詳細については選任議案の中に記載させていただいていますが、もともと大手監査法人にいらっしゃった方々が、かなりの人数を割いて監査していただけるということもありまして、このような選任議案に至ったとご理解いただければと思います。
以上、私からご説明申し上げました。
稲垣:
それでは次の質問に移ります。次は利益水準に関して。
売上を30%成長させるのは良いと思いますが、今期利益を出してほしかったので、合計15.6億円の投資をし、この程度の利益水準に留まる予定なのは残念です。

我々投資家はQuartzの赤字を耐えていたのに、梅田さんだけ高値で株を売ってずるいのではないでしょうか。投資家はいつまで耐えれば良いのでしょうか。また7年後に売上1000億円目標ということですが、このとき利益はどれくらい出ているのでしょうか。ほとんど投資に回って、利益は出ていないのではないでしょうか。
千葉:
私から引き続き回答申し上げます。
おっしゃる通り、Quartzの赤字約15億円を考慮すると、今回のEBITDA18億円は皆様の想定より低かったかもしれません。
しかし今回ご説明させていただいた通り、今期においてはしっかり投資することで、来期以降のトップラインの30%成長を実現したいと思っています。
また、我々の中で考えている利益の規律についても少しご説明させていただければと思います。我々は売上成長率とともに、各事業から直接的に生み出される利益、これを「ダイレクトEBITDA」と呼んでおりますが、このダイレクトEBITDAのパーセントを足して50%以上にしていくという社内の規律を持っています。
こちらの規律に基づく形で、今回トップライン30%をお約束しておりますので、ダイレクトEBITDAベースでは20%を1つ基準とし、中長期的な成長のための投資をグループ全体でいくらくらい投下すべきなのか毎年議論をしてガイダンスを出していきたいと思っています。
そういった意味では、トップラインの成長のために利益を犠牲にするという方針を、今回開示したわけではございませんので、ご理解いただければと思っておりますし、しっかり結果でお示しできればと思っています。
稲垣:
ここは私からも補足させていただきます。
昨年のQuartzの失敗については、私たちとしても本当に申し訳なく思っております。それでも耐えて株主の皆様が投資し続けてくださっていることは本当に感謝をしております。必ず結果でお返しできるようチーム一丸となって努力していきたいと思っております。
先ほど私からも申し上げた通り、1000億円という売上目標は市場での規模を取るために第一目標として目指していきたいと思っております。しかし利益水準を著しく犠牲にして、売上の成長だけを追うようなことは考えておりません。売上・利益の両面でしっかりと結果を出してきたいと考えております。
それでは次の質問に移ります。貴社のSaaS事業のTAM(Total Addressable Market)やSAM(Serviceable Available Market)について。
貴社のSaaS事業に魅力を感じ投資しています。BtoB、BtoCそれぞれありますが、それぞれについて、事業のポテンシャル=売上の天井感は国内、海外でどのように見れば良いでしょうか。定量的に教えてください。
佐久間:
佐久間です。よろしくお願いいたします。
市場規模については、例えばSaaS事業内で最も売上高が大きいのがSPEEDAです。SPEEDAに関しては、国内のマーケティングリサーチ市場は2000億円を超える規模があります。その市場の中で、SaaSを用いたリサーチについては高成長しています。
なのでSPEEDAのTAM、リーチできる市場は大きいと考えています。
その他にも我々には幾つかBtoBのサービスがありますが、例えばFORCASに関してお話しますと、FORCASに近しい市場でいうとマーケティングオートメーション市場。
その中でもFORCASと同じようなBtoBをターゲットにしている市場が、国内だと約200億円くらいの規模で、しかも年率10%以上の成長を見せています。なので、まだまだ市場は大きいですし、しかも成長市場にアプローチしていると言えるかなと思います。
稲垣:
toCについては千葉より回答させていただきます。
千葉:
toCに関しては我々ビジネスメディアの運営を主にしています。ご存知の通り日本においては日経新聞さんがこのマーケットではトップリーダーでして、彼らが開示しているデジタルの会員数は76万人だと言われています。
それに対して我々はまだ17万9000人と少ない数になっていますので、まずは有料会員数を着実に伸ばしていくことにチャレンジしていきたいと思っています。
また1ユーザーあたりからいただいている課金金額に関しましても、我々の単価が1600円に対して、日経新聞さんの費用は4200円と非常に高い金額になっていますので、ここを1つベンチマークにしながら伸ばしていきたいと考えています。
なお、ビジネスメディアにおける課金事業のTAMに関しましては、約1400〜1500億円程度あると考えていますので、こちらについても非常に大きな市場で我々は勝負していると考えています。
稲垣:
一旦、今出ているご質問に関しては回答させていただきましたが、他にご質問はございますでしょうか。会場からはいかがでしょうか。
それではご質問がないようですので、議案の採決に移らせていただきます。
(この後、議案の採決が行われ、全ての議案が承認可決されました。)
これにて第13回定時株主総会を閉会いたします。お忙しい中ご参加いただき、誠にありがとうございました。
この後、新任役員の松井しのぶからご挨拶させていただき、休憩を挟んでパネルディスカッションを開催させていただきます。

新任取締役 挨拶

松井:
本日取締役にご選任いただきました松井です。
私は2014年にユーザベースが70人くらいのときに入社いたしまして、一貫してユーザベースのコーポレート部門で、規模が拡大する会社の仕組みを1つひとつ作ってきました。
私自身のミッションとしては、ユーザベースグループに関わっていただいている様々なステークホルダーの皆様が「この会社に関わって良かったな」と思っていただけるような、そんな会社を管理面や企業文化面から支えていく、作っていくことだと思っています。
弊社にとって初めての管理担当の取締役であり、かつ初めての社内からの女性役員ということで、この大任をどのような形で果たしていくのか、私自身、身の引き締まる思いですが、私らしい管理担当取締役の形を作っていければと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。

パネルディスカッション

村上:
今回モデレーターを務めさせていただきます村上と申します。よろしくお願いいたします。
最初に私から他己紹介の形でマネジメントメンバーを紹介していきます。私から見えているマネジメントメンバーということでご紹介いたします。
まずCo-CEOの稲垣ですね。マジカルな組織、そしてモチベーションのとことん高い組織づくりに情熱を持って、毎年の高い成長率を実現する組織を、稲垣が中心となって作ってきました。
2008年にマンションの一室からスタートして、2年前には売上高100億円、時価総額1000億円を達成し、これはマンション時代から掲げていた目標ですが、まさに組織力を持って有言実行経営を推進してまいりました。
今回マネジメントメンバーには、それぞれ3つのハッシュタグについて予め回答してもらっているので、そちらも紹介していきます。
3つのハッシュタグとは、
#1 自分を一言で表すとしたら?
#2 人生においてのミッションは?
#3 最近楽しかったこと
この3つです。
稲垣さんは何と回答しているのでしょうか。
  • #人の可能性を信じる
  • #ビジネスにおける飲み会の可能性の証明
  • #緊急事態宣言明け後の飲み会
ちょっと聞いてみましょう。稲垣さん、「ビジネスにおける飲み会の可能性の証明」ってどういうことですか?
稲垣:
1点目の「人の可能性を信じる」ということにもつながるんですが、創業期から梅田と新野、今で言うと佐久間や松井や坂本、千葉とチームでやっていく中で、自分1人でできないことも彼らのサポートがあるからこそ、ユーザベースとして実現できると思っています。
チームでやれているからこそ、ユーザベースは本当に未来があると信じています。1人ひとりの可能性がそのままユーザベースの可能性にある。ただ、当然みんなで一緒のチームでやっていこうとしたときには、お互いのことを知ったり、課題が何か起きたりしたときに議論し合うことはすごく重要なことだと思っています。
でも、やっぱりそれがただの会議の場、1時間や30分で解決できるかというと、全然解決できなくて、創業期も本当に泣き分かれるくらいの喧嘩をしたこともあるんですが、最後にそれを解決してくれたのが、僕は飲み会だったということがありまして。
飲み会といっても、別にお酒を飲めばいいということではなく、長い時間、苦痛なくお互いに時間を共有できること。食事をしながら時間をともにして、しっかりと議論して、それでお互いの目線を合わせることができてきたので、僕はすごく重要な場だと思っているんですよね。
ちなみにメンバーに対してお酒を強要したことは一度もありません。お酒が飲めないメンバーでも、おいしいものを食べてもらって、一緒に苦痛なく時間を共有して、それでお互いを知って、未来をつくっていくというのは、ビジネスにおいてもすごく有用なツールなのではと僕はずっと思っているので、それが本当に有用だということを証明していくことは、僕のやりたいことの1つだなと思って書きました(笑)。
村上:
ありがとうございます。興味深い話で掘り下げていきたいところですが、時間が押していますので、次に佐久間さんを紹介しましょう。
同じくCo-CEOの佐久間です。2013年に入社後、SPEEDAの事業責任者として、SPEEDAを事業会社に広めて、その後INITIALの買収やFORCASの立ち上げと、当社グループのSaaS ビジネスの基盤拡大を行ってまいりました。
まさにBtoB SaaSビジネスの第一人者です。そして満を持して今年の1月にグループのCEOに着任いたしました。見た目はクールですが、ハートは火傷するほど熱い人物です。
稲垣×佐久間の共同代表によるさらなるグループの成長が楽しみで仕方有りません。
では3つのハッシュタグを紹介しましょう。
  • # アナロジー好き
  • # 感動とフローの創造
  • # 写真撮影
アナロジー好きってどういうことですか?
佐久間:
私はもともと数学者を目指していて、数学がすごく好きなんですね。数学はアナロジーの学問でもあり、例えば位相幾何学的なことを代数幾何学的に捉えるとか、分野横断的な思考、そこに本質的に似通っているものを見つけることが重要な学問だと思います。
それはビジネスの世界でもそうで、例えばコンピューターサイエンスのアーキテクチャ的に、実際の会社の組織構造を捉えるとか、一見つながっていないようなものに対して、共通の構造を見つけることがたまらなく好きです。
村上:
いろいろと難しいことを考えていることがよく分かりました(笑)。
では次、坂本さんいきましょう。NewsPicks代表取締役の坂本でございます。
ユーザベース創業時からグループの成長に貢献してまいりました。
SPEEDAを売りまくっていた時代、それからNewsPicksの広告ビジネスを起動に乗せて、ここまでの一大ビジネスに育て上げたのも彼です。
NewsPicksの代表になってからは、365日24時間、NewsPicksのことを考え続け、いろいろな仕掛けをしております。ユーザベースグループが心から大好きと公言している坂本さんの3つのハッシュタグ。
  • # 人が好き
  • # 未来に希望がもてる社会を創る
  • # サウナ
2つ目の「未来に希望がもてる社会を創る」、これはどういったことでしょう?
坂本:
坂本です。よろしくお願いいたします。
僕自身、高校生・大学生のときから、社会に出るのが楽しみで仕方なかったんです。自分自身、能力がもともと高かったわけではないんですが、他の同世代と比べると常にワクワクして、早く社会に出たくて楽しかった。
そういう前向きなワクワクしていた気持ちが自分自身のキャリアを作ってきたという自負があります。
他方、僕の周りの友人たちで、僕より優秀だった人たちが、社会にあまり楽しみを覚えていなくて、どんどん内向きな話ばかりをしている人たちも見てきました。その中で、1人でも多くの人が、もっとビジネスでこんなことをしたい、将来こうなりたいって夢を語れるような社会になればいいなと思うようになりました。まさにそれを実現できるのが「経済を、もっとおもしろく。」と掲げているNewsPicksだと思っています。よろしくお願いいたします。
村上:
ユーザベースグループ、そしてNewsPicksであれば、そういったミッションも実現できると思います。引き続き期待しております。
次はコーポレート担当取締役の松井でございます。CPOは「Chief People Officer」、CAOは「Chief Administrative Officer」です。
2014年に入社後、当社の上場や様々な買収案件を、高い専門性で次々にこなしているかと思えば、とても大きな包容力を持って、いろいろなメンバーの悩み相談に乗ってきました。
まさに自由な働き方、多様性を実現する会社づくりに人一倍尽力してまいりました。私も松井さんとはコーポレート部門で一緒に働いていましたが、スーパーウーマンでございます。
そんな松井さんの3つのハッシュタグ。
  • #強くて甘い
  • #家族の幸せ
  • #女性リーダーのメンタリング
この「強くて甘い」の「甘い」は何ですか?
松井:
いろいろな意味を含んでいるんですが、私は社内で「ゴッドマザー」と呼ばれていまして、結構自分でもメンタル強いなと思うんですが、最後なんだかんだ、ここに並んでいる経営陣や、創業者の梅田や新野など、みんな至らない点やすごい点など、人間なのでいろいろあるんですが、最後「お願い」って頼まれると、結構「わかった」って、私としては甘いなと思いながら許しちゃうところがあるなと思っていて。
それは家族に対してもそうで、ちょっとお母さん的なところがあるなと自分でも思っているんですが、甘いなと思いながらも、みんなからキラキラした目で頼まれると断れないっていうところがあるかなと思っています。
村上:
その包容力を持って、この個性的なマネジメントメンバーを支えてきましたよね。
次、CFOの千葉でございます。これだけの高成長を続けて、かついろいろなチャレンジを次々に続ける会社でCFOをやることがどれだけ大変か。これは本当に大変だと思います。
しかしながら、物事を常に大局的に俯瞰して、その人間力でいつも穏やかに冷静な判断を行う千葉さん。着々と物事を進めていきますが、その器の大きさは底なしです。
では千葉さんの3つのハッシュタグ。
  • #不器用で気まぐれ
  • #構造の歪み解消に貢献すること
  • #緊急事態宣言明け後のチーム合宿
「構造の歪み解消に貢献すること」って具体的にどういうことでしょうか?
千葉:
どの業界でも情報の非対称性や、パワーバランスが歪んでいるなと思うことが実はたくさんありまして、そこをユーザベースが抱えている経済情報という分野においても解消していきたいなと思って入社したところがあります。
具体的に言うと例えば、ユーザベースも投資する側、M&Aする側に立っていますが、M&Aする側とされる側って情報の非対称性がすごくあったり、新規で株式を上場するときって証券会社は百戦錬磨で情報をいっぱい持っているんですが、ほとんどの会社、経営者は初めて皆さん上場するので、右も左も全然分からないんですよね。
そういう情報格差で損していることとか、そこがフェアになればもっと良い世の中になるのになと思うことが多いので、それを人生においてのミッションというか、そこに自分の人生を使っていきたいなと思っていたので、書かせていただきました。
村上:
ありがとうございます。やはり高尚と申しますか、本当にすごい人ですね。
ではパネルディスカッションに入っていきます。さっそくSlidoの上から見ていきましょう。
Q:今後の買収戦略について教えてください
村上:
今までユーザベースで数々のM&Aをやってきた佐久間さん、いかがでしょうか。
佐久間:
ご質問ありがとうございます。
我々のM&Aには大きく2つの型があるかなと考えていて、1つはデータアセット目的での買収です。
過去、2017年頭にジャパンベンチャーリサーチを買収して、今は弊社内でINITIALという事業に発展していますが、彼らしか持っていないスタートアップのデータがあって、それを今INITIALはもちろん、SPEEDA、FORCASなどいろいろな事業に活かすことができています。
稲垣のプレゼンテーションにもありましたが、データが共通の強みになっています。
なので今後も我々の共通の強みを深めて、いろいろなサービスで活用していくためのデータアセット目的での買収はあり得ます。
もう1つは昨年のミーミル、その前のAlphaDriveのように、独自の強いオペレーションや強いネットワークを持っている企業の買収ですね。
そういう企業を買収して、ミーミルでいうとSPEEDAと組み合わせてテクノロジー化していく。AlphaDriveでいうとNewsPicksと組み合わせて、NewsPicks Enterpriseというプロダクトを作っていく。
独自の強いオペレーションやネットワークを持った企業に対し、我々の共通アセットであるテクノロジーを用いてプロダクト化していくところにも我々の強みがあるかなと考えています。
この2つの分野だと、M&A、買収の最大の失敗である「高値づかみ」というか、オーバーバリューで買ってしまうことが比較的少ないと思うんですよね。
データアセットでいうと、我々としてしっかりそのデータの価値を見積もれますし、まだテクノロジー化されていない事業であれば、高すぎる価格にはなりにくい。そういう意味でも、まずこの2つを基本方針として考えています。
村上:
ちなみに佐久間さんはユーザベースに入る前は、投資銀行でプロとしてM&Aも数多くこなしてきていますので、今後も佐久間さんをはじめ、当社の経営陣でいろいろなM&Aを仕掛けていくのかなと思います。
Q:坂本さんにお聞きしたいのですが、梅田さんも非常勤となり、NewsPicksは新たな時代に入ったと思いますが、改めてどんなメディアにしたいのか、今後の野望を聞かせてください
坂本:
2019年から社長をやっておりますので、そのときからNewsPicksをどうしていこうとしているか? ということで言うと大きく2つあります。
1つはNewsPicksを本当に仕事で使えるレベルにしていきたいということです。現状のNewsPicksはみんなが読むべきニュースが集まっているサービスです。今、世の中的に重要なニュースに対してコメントが集まって、多面的な見方ができるメディアにはなっているんですが、ユーザー1人ひとりに寄り添って、例えば自動車業界の人であれば自動車業界のニュースが届くような、そういったカスタマイズがやり切れていないと思っております。
なので、まずNewsPicksを、1人ひとりにパーソナライズ化されたサービスにしていき、本当に仕事で使えるサービスにしていくことをやりきりたいと思っております。
そのためにも、もっと発信してくれる専門家の方々を一気に増やしていかなければならないと思っています。そのために僕が多くの時間をミーミルチームとのMTGに使っています。
まさにミーミルに登録いただいている1万人近い専門家の方々にNewsPicksに登録していただき、さらに細かい領域の専門的な情報を発信してもらい、それをアプリの中でユーザー単位で届けていくことをしっかりやりたいというのが1つです。
もう1つ、大きく変えたいと思っているのは、NewsPicksをもちろんtoC向けのサービスとしてしっかり拡大していことは、マーケティングを含めてやっていきたいんですが、僕はNewsPicksをtoBや、今やっているような学校単位での導入など、コミュニティ単位でNewsPicksを使っていくということにポテンシャルをすごく感じています。
なので、先般ドコモとの提携も発表させていただきましたが、日本中隅々までNewsPicksをしっかりと営業部隊を組成して、届けていく。それをパートナーシップを組んでやっていくことは、1つ変化として出すところかなと思っております。
そういったことをやりながら、NewsPicksが僕は日本中の働いている人たちに届け、先ほど話した「未来に希望がもてる社会を創る」を実現したいと思っています。NewsPicksの中には、今世界がどうなっているかだったり、今チャレンジしている人たちの情報がいろいろありワクワクする――そういった情報を日本中の人に届けていきたいなと思ってやっております。
村上:
NewsPicksの新たな時代、とてもワクワクお話を聞いていました。
そもそも梅田さんがQuartzを買収して米国に行ったのはだいぶ前の話で、坂本さんがこの間ずっと代表で引っ張ってきているので万全であるということで、次にいきましょう。
Q:梅田さんは、最近いったい何をしているんですか?
村上:
今日は梅田さんがパネリストとして出ていないので、高校時代同級生だった稲垣さん。最近梅田さんは何をしているんですか?
稲垣:
ユーザベースとの関わり方の観点でお話させていただきますと、1つは経営陣をはじめとするメンバーたちのメンタリングや、具体的な事業戦略のディスカッションパートナーになってくれています。彼のこれまでのユーザベースの知見がいろいろなところで活きるシーンがあります。特に彼の強みはプロダクトやグローバルな観点にあるんですが、私や佐久間を含めて、いろいろなメンバーとの対話に普段は時間を使ってくれています。
もう1つが取締役会におけるガバナンス的立ち位置のところですね。
もちろん、元々社外取締役の皆様の知見というのは、ユーザベースにとって非常に貴重なものではあるんですが、ユーザベースの中身をちゃんと知った状態でガバナンスに回るというのは、また違った観点での意見が出ます。その観点で今、取締役会の質はさらに向上できているのではと感じています。ですので、大きくはその2点になります。
村上:
常勤だった人が非常勤になって、取締役会でガバナンスを効かせるというのは、実はガバナンスにとって逆に良い面というのはあると思うんですよね。中にいたからこそ見える、外からできるアドバイスって、実は結構あるなと思っています。
Q:SDGsに関連するユーザベースの特段の取組みがあれば、ご教示下さい。
松井:
私から回答させていただきます。
先般の4Qの決算発表のときに、少しだけESGがらみの開示をAppendixに載せておりますが、実はユーザベースとしてはいろいろなSDGsに繋がるような取り組みを創業以来やっております。
ただ、きちんと投資家の皆様に開示できていなかったり、PRできていなかったりと、まだまだ至らない点がたくさんあると思っております。こちらは今、会社としてもプロジェクト化しまして、しっかり外部にもお伝えしていければと考えております。
具体的に我々がすでに行っている取り組みとしてどのようなものがあるかと申しますと、まず従業員のところですね。オープンワークスさんによる「働きやすい会社ランキング」にランキングされたり、従来から「自由主義で行こう」「異能は才能」というバリューを掲げておりますが、こういったダイバーシティや働き方の部分では創業以来先進的な取り組みをしてきていると思っております。
また、NewsPicksをはじめとしたメディア事業もやっておりますので、例えば直近ですとコロナの特設タブを作って発信しました。あとNewsPicks Educationというのをやっておりまして、高校生など若い世代にもNewsPicksを読んでいただけるような、そんな取り組みもしております。
また4Qの決算説明資料で開示させていただいたような取締役会のアップデート、ガバナンス強化ですね。この点につきましても会社をあげて取り組んでおりますので、これら開示できていること・できていないことも含めていろいろやっておりますが、これらをきちんと整理して、皆様にお伝えできるような形にしていくことが、今後の課題かなと思っております。
村上:
おかげさまでたくさんご質問いただいている関係で、時間内に全て回答できない可能性がございます。回答できなかったご質問は、後日掲載するIRレポートで回答させていただきます。
Q:先程の総会で20%の利益を目指すとのことだったが、売上1000億円時点の営業利益の目安は200億との認識で良いのでしょうか?
千葉:
先ほど私のご説明が不十分だったかと思いますが、営業利益ではなく、のれんや減価償却を加味したEBITDAで設定しております。かつ先ほどの20%というのは、各事業から出てくるEBITDA、つまりダイレクトEBITDAという指標になりますので、単純に売上1000億円×20%で、EBITDA200億円という計算式にはならないと思っております。
その時々の投資の必要性と、グループ全体の投資アロケーションをどうするかというところで、多少のバッファは持ちたいと思っておりまして、今後初めてトップライン30%のガイダンスを出す年が次の決算期である2022年の業績予想になるかと思いますが、そのタイミングまでにご質問いただいたような利益に対する我々のディシプリンの方針を開示していきたいと思っています。
そのために今年しっかり投資をして、どういうポートフォリオでこの1000億円を達成していくのか、売上30%を達成していくのかという道筋をより明確にしていきたいと考えています。
村上:
有言実行経営がモットーの当社でございます。次のご質問にいきます。
Q:NewsPicksの動画番組のキャスティングはどのように決めているのですか?
※特定の個人の中傷と捉えられかねなかったため、質問内容を一部改変させていただきました。
村上:
最近のキャスティングポリシーなど何かあればお願いします。
坂本:
我々としては職業や見た目ではなく、実際にその人の発言内容や、実際に対面した中でのコミュニケーションをもとに、その人が信頼できるかどうかというのを、クリエイティブのメンバーが吟味してアサインを考えております。
NewsPicksに出ている方々によってNewsPicksのブランドが作られていることは重々理解しておりますので、今後もしっかりとその人がどういう人なのかというのは、チームの中でコミュニケーションを取りながら、そこは当然自分たちの感覚と、+α外の人からの評価なども含めて、しっかり多面的に見て人選していきます。
村上:
実は出ていただく方を検討するのに、ものすごい時間をかけて会議をして、やっとGOサインを出すような形なんですよね。
坂本:
そうですね。当社は例えば僕だったり役職で上の人が言ったら通るようなカルチャーでは全くないので、やはり現場の1人ひとりのメンバーが信じた人を挙げてもらい、みんなで議論した上で人選しています。
村上:
残り5分になりました。少し凝縮した形でお答えいただけるとありがたいです。
Q:東証一部上場への進捗状況を教えてください。
千葉:
こちらについては要件を満たしておりますので、最速での達成を目指して準備をしています。
ところが直近株価が下がってしまって、我々が満たしていた売上100億円&時価総額1000億円という基準にちょっと黄色信号が灯っております。しっかりIRをやって株価を上げながら、証券会社の審査や東京証券取引所の審査を経て、できる限り早く実現したいと考えております。
Q:海外展開の可能性や野望、進捗状況など言える範囲で教えてください。
稲垣:
まず足下のところは国内を重点領域として振り切って注力していきたいと思っていますが、私たちの「経済情報で、世界を変える」というミッションとしては、海外は重要な戦略上のポイントになりますし、そこへの思いというか、野望は変わらずに掲げていきたいと思っています。
現在の状況としては、引き続きSPEEDAによるアジア展開はこれまでと変わらず経営を続けています。北米に関してはQuartzの売却によって形は変わっていますが、新たに「SPEEDA EDGE」という製品を開発して、今まさに立ち上げを行っていますので、1年後には何かしらご報告できるかなと思っています。
村上:
それではお時間がありますので最後の質問です。
Q:御社のサービスの中でNewsPicksはまだまだマストハブになりえてないように思います。マストハブ化するには雑誌的後追い報道ではなく日経新聞のように特ダネをすっぱ抜くような報道が必要ではないでしょうか?
坂本:
ご質問ありがとうございます。
Must Haveになり切れていないというのは、私も同じように考えておりまして、これからしっかりMust Haveな存在にならないといけないという思いは同じです。
ただそのアプローチを日経新聞さんや他の大手新聞社さんと同じように特ダネを取りに行くことを狙うのかというところでいうと、かなり人を割かなければならない構造になりますので、そこで勝負するのではなく、やはりその人が仕事で絶対に必要な情報をしっかり押さえられるサービスにしてきたいと思っています。
日経新聞がMust Haveになっているのは、もちろん特ダネもありますが、やはり細かい業界、プレイヤーまで含めてしっかり情報があることだと思っています。
その情報のカバレッジをしっかり作っていく。そこを専門家の方々と一緒に、当社で全部人を採用していくのではなく、世の中にいる専門家の方々と連携して作っていくことをやりたいと思っています。
村上:
残念ながらお時間になってしまいました。
今日いただいて回答できていないご質問は、後日出させていただくIRレポートで全てご回答いたしますので、そちらをお読みいただければと思います。
ではパネルディスカッションはここでお開きとさせていただきます。
株主の皆様におかれましては、お忙しいところ最後までご参加いただき、本当にありがとうございました。
このような経営陣でさらなる成長を目指してまいります。引き続き当社ユーザベースグループの応援、ご指導を何卒よろしくお願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。
※パネルディスカッションで回答しきれなかったご質問については、こちらの記事に回答を掲載しております。