[カイロ 24日 ロイター] - 世界の海上輸送の要衝であるエジプトのスエズ運河で大型コンテナ船が座礁し、運河を塞いでいる問題で、24日時点でタグボート10隻が離礁作業にあたっているが、依然として他の船舶が往来できない状態は続いている。

スエズ運河当局によると、23日午前に座礁したのは全長400メートルの「エバーギブン」。強風と砂嵐によって操舵不能に陥ったことが原因とみられる。

エバーギブンの技術管理を行うべルンハルト・シュルテ・シップマネージメント(BSM)は、乗組員に負傷者は出ておらず、座礁による海洋汚染の報告もないと説明した。

BSMによると、同船は日本の正栄汽船が所有し、台湾の長栄海運(エバーグリーン・マリン)がリースしている。

ドバイが拠点の海運事業者GACは先に、エバーギブンの一部が浮き始めたと明らかにしたが、この情報は不正確だったと説明。24日午後の時点でも離礁作業は続いていると明らかにした。

スエズ運河は欧州とアジアを結ぶ最短航路で、世界のコンテナ輸送貨物の約30%が毎日ここを通過して運ばれる。

スエズ運河当局が掲載した画像によると、エバーギブンは運河を斜めにふさいでおり、周りではタグボートや掘削機が作業にあたっている。

当局者によると、天候が許せば、船を動かす作業は夜まで続く可能性がある。

スエズ運河当局の責任者は地元メディアに対し、船の遅延に対する補償を検討していると語った。

関係筋によると、現時点でエバーギブンの北方には少なくとも30隻、南方には3隻の船舶が通航を待っているほか、運河の南・北側入り口近辺でも数十隻の船舶が進入待ちとなっているもよう。

また、石油分析会社の情報では、約1300万バレルの石油を積載したタンカー10隻の運航に影響が及ぶ恐れがある。

情報分析会社Kplerによると、24日時点でLNGタンカー5隻がスエズ運河を通航できない状態にある。