[22日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は23日に下院金融委員会で行う証言で、米議会とFRBの「前例のない」支援策により、米経済は「大きく改善した」との認識を示す。同時に、完全な回復には「程遠い」として警戒感も表明する。

証言の準備原稿によると、パウエル議長は「回復は一般的に予想されていたよりも速く進み、力強さを増しているように見える」とし、消費支出が増加して、住宅部門も完全回復を上回ったとの認識を示す。

ただ「新型コロナウイルス感染再拡大とソーシャルディスタンス(社会的距離の確保)で最も大きな影響を受けた部門はなお脆弱で、特に労働参加率がパンデミック(世界的大流行)前の水準をなお大きく下回っていることを踏まえると、6.2%に高止まりしている失業率は不足分を過小評価している」と指摘。「回復は完全には程遠い。このため、FRBは必要な限り経済に対する支援を提供し続ける」と述べる。

準備原稿は、景気回復が加速している兆候が出る中、パウエル議長がここ数週間に示してきた慎重ながら楽観的なトーンと一致している。

FRB当局者や多くの民間エコノミストは、米国民へのワクチン接種が進むにつれて今後数カ月で支出や経済成長が大きく加速すると予想している。それでもFRBは先週、政策金利をゼロ近辺に維持すると決定。大半の当局者は2023年を通して金利が現行水準にとどまるとの見通しを示した。

議会証言では、FRBの超緩和的な政策がはらむリスクについて議員から質問が飛ぶのは必至だ。この政策には、最大雇用とインフレの目標に向けて「さらに著しい進展」が見られるまで、月1200億ドルのペースで債券買い入れを継続する措置も含まれる。

パウエル議長は、比較的低賃金の労働者やアフリカ系、ヒスパニック系、その他マイノリティーのグループが依然として苦境にあると指摘している。

議長は先週、債券買い入れ縮小について議論を始める時期ではないと強調した。FRB当局者は底堅い経済成長が労働市場の改善を後押しするとみているものの、就業者数が危機前の水準を依然として数百万人下回る中、埋めるべき大きな穴がまだ残っている。

さらに、当局者はインフレ率が年内に2.4%に上昇するとみているが、こうした水準が長期間続くとは予想されていない。インフレ加速が一時的なら、FRBはより長期にわたってアクセルを踏み続けることが可能になる。

23日の公聴会は、パウエル議長がイエレン財務長官の就任後に議会でともに証言する初の機会となる。両氏は24日には上院銀行委員会で証言する。

パウエル議長は証言原稿で、「経済を支援し、この困難な局面からの可能な限り堅固な回復を確かにするためあらゆる手段」を講じる決意も改めて表明した。

*証言原稿の内容や背景を追加して再送します。