[シドニー 18日 ロイター] - 豪連邦統計局が18日発表した2月の雇用統計によると、就業者数は5カ月連続で増加し、市場予想を上回った。失業率も予想以上に改善し、景気回復が順調に進んでいることが示された。

雇用統計が強い内容となったことで、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が打ち出している長期にわたる低金利の確約が試されることになる。

2月の就業者数は前月比8万8700人増。市場予想は3万人増、1月は約2万9000人増だった。

失業率は5.8%と、前月の6.4%から急低下。市場予想(6.3%)よりも大幅な改善だった。失業率は昨年7月に7.5%まで悪化していた。

統計を受けて豪ドル/米ドルは2週間ぶりの高値となる0.7835米ドルまで上昇。豪3年債先物は下落した。

豪中銀は労働市場の需給が物価上昇を伴うほど引き締まるまでは、政策金利を過去最低の0.1%に維持する方針を示しており、雇用統計の注目度が高まっていた。

中銀は少なくとも2024年までそうした労働市場の引き締まりは想定しておらず、今月の理事会では3年債利回り目標を0.1%に維持すると再表明した。

INGのアジア太平洋リサーチ責任者、ロバート・カーネル氏は「このような統計が今後も出てくれば、中銀はハト派トーンを維持することが難しくなる」と指摘。

「『(目標には)まだほど遠い』と主張するかもしれないが、これほどのペースだと到達には2024年までかからない」との見方を示した。

2月の統計によると、雇用者数は1300万人を超え、新型コロナウイルス対策の行動規制が導入された昨年3月の水準を4000人上回った。

就業者数の増加分は全てフルタイム就業者で、女性が4分の3以上を占めた。

労働時間は西オーストラリア州を除く全ての州・準州で増加。西オーストラリアは2月の第1週にコロナ対策のロックダウン(都市封鎖)が短期間実施された経緯がある。

キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ベン・ウディ氏は「就業者数の急増は豪労働市場が大方の予想よりも速いペースで引き締まっているというわれわれの見方と整合的だった」とコメント。

雇用者数は今後も2月より緩やかなペースで増加を続ける見通しで、失業率は今後数カ月でさらに低下するだろうと述べた。

豪政府は今月、コロナ禍で一時的に導入した賃金補助制度を打ち切る。

モリソン首相は雇用統計について、心強い結果だとし、財政支援の縮小が労働市場に悪影響をもたらすとの見方を一蹴。「非常に力強い雇用増とともに豪景気回復の次の段階に入る」と述べた。

*内容を追加しました。