[メルボルン 12日 ロイター] - 豪ビクトリア州の褐炭から水素を製造し日本へ輸送することを目指す5億豪ドル(3億8700万米ドル)の実証実験プロジェクトを巡り、スポンサー各社は12日、日豪のベンチャーが水素の製造を開始したと発表した。

このプロジェクトは川崎重工業が日豪の政府による金融支援を受けて進めている。ビクトリア州は世界の褐炭確認埋蔵量の4分の1を占めている。

日本が2050年までに炭素排出を実質ゼロとする目標を達成する上でもプロジェクトは重視されている。日本は年間の水素需要を50年までに10倍の2000万トンに増やす計画だ。一方で豪州は主要な水素輸出国を目指している。

褐炭はエネルギー含有量が比較的少ないため低品位な石炭とみられており、排出量の多い豪発電所の一部で長らく利用されているものの、発電所の中には既に閉鎖されたり、閉鎖が予定されていたりするものもある。

このプロジェクトで製造された水素は港湾拠点に運ばれ、輸出のために液化される。その後は川崎重工業が製造した世界初の液化水素運搬船に積み込まれる予定だ。新型コロナウイルス流行に伴う制限措置により運搬船の最終チェックに遅れが出ているため、出港は年央に後ずれしている。

川崎重工業の現地法人ハイドロジェン・エンジニアリング・オーストラリアは発表文で「2021年半ばに液化水素の運搬が始まれば世界の目はビクトリアに注がれるだろう」とした。

プロジェクトの豪州側パートナーには、電源開発(Jパワー)、岩谷産業、丸紅、住友商事、豪AGLエナジーが含まれている。