[ロンドン 11日 ロイター] - 英金融大手HSBCは11日、石炭業界向けの融資を先進国は2030年、途上国は2040年までに段階的に廃止する計画を発表した。同社には化石燃料事業への融資姿勢を厳格化するよう株主から圧力がかかっていた。

合計約2兆4000億ドルを運用している複数の投資家は年初に、HSBCに気候変動への取り組み強化を義務付ける議案を提出していたが、これを撤回した。HSBCと妥協点を見いだしたとみられる。

HSBCは融資事業を地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」と整合的にするための短期および中期の目標も設定。

HSBCを含む金融大手が、化石燃料事業への融資を削減し、他業種の顧客には温暖化ガス排出削減を働き掛けるなどして気候変動対策を強化するよう求める一般市民と政治家からの圧力に屈しざるを得ない現状を物語っている。

責任投資を推進する組織「シェアアクション」などがHSBCの5月28日の年次株主総会に向けた議案を撤回したのを受け、HSBCは代わりに自らの議案を諮る見通し。シェアアクションと当初の議案の共同提出者である欧州資産運用大手アムンディや英ヘッジファンド、マン・グループなど15の主要投資家はHSBCの議案を支持している。

シェアアクションのシニア・キャンペーン・マネジャー、ジャンヌ・マーティン氏は「株主の確固たる関与が具体的な成果につながり得ることが今日の発表によって示された。銀行業界にとって重要な前例をつくった」とコメントした。

HSBCは昨年10月に2050年までに二酸化炭素(CO2)排出をネットでゼロにする方針を示していたが、化石燃料関連会社への融資に直接対応してないとの批判を受けていた。