[北京 8日 ロイター] - 中国は5日に開幕した中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に当たり公表した2021年の政府活動報告で、前年に続き不動産税の立法化に関する部分を削除した。新型コロナウイルス危機からの景気回復を確実にするため、国内の消費促進を優先し、不動産税の導入を先送りする方針とみられる。

不動産代理店センタラインのチーフアナリスト、Lu Wenxi氏は、中国の景気回復は、米国の景気刺激策や新型コロナ感染状況を巡る先行き不透明感の影響を受ける可能性があるとし、「政策当局者は不動産市場の安定をより重視している」と指摘。大きな税制変更があれば、混乱が起きる可能性があると説明した。

また、広東不動産政策研究機関のチーフエコノミスト、Li Yujia氏は、不動産税の改革は、内需拡大と消費刺激という今年の主要政策課題と一致しないと述べ、今年は、より具体的な、大都市の住宅問題解決という課題に焦点が当てられると指摘した。

Li氏は、不動産税の立法化は引き続き、今期(23年まで)の全人代常務委員会の課題だと述べ、今後2年で大きく進展するとの見通しを示した。

5日に公表された5カ年計画でも今後5年間に不動産税の立法化を進める方針が示された。