[東京 9日 ロイター] - 日銀が9日発表した2月のマネーストック速報によると、M3の平均残高は前年比8.0%増の1485兆4000億円となり、過去最高の伸び率となった。預金通貨の伸びがM3を押し上げた。新型コロナウイルスの感染再拡大で消費が手控えられ、個人の預金が一段と増えたほか、銀行の貸出増で法人預金も増えたもようだ。

M3の残高は過去最高を記録した1月から減少した。前月比減少は1年ぶりで、季節性によるものだという。M3の季節調整後の残高は1494兆8000億円で過去最高を更新した。

M3のうち、預金通貨は15.8%増の829兆円。伸び率、残高ともに過去最高。現金通貨は6.1%増の109兆9000億円、CDは7.1%増の31兆3000億円となった。

M2は9.6%増の1139兆7000億円で、伸び率が過去最高。M3と同様、残高は季節要因で前月より減少した。季節調整後の残高は1151兆5000億円で過去最高となった。

広義流動性は6.0%増の1942兆9000億円となり、伸び率・残高が過去最高。広義流動性のうち、国債は6.3%減で2017年5月以来の減少率となった。個人向け国債の発行減が要因だという。

日銀は9日、広義流動性の定例見直しを発表した。原則3年に1度をめどに行っているもので、4月に実施予定。2003年4月から21年2月の計数が改定され、広義流動性の前年比がマイナス0.6%からプラス0.3%ポイント修正される予定。

(和田崇彦)