[東京 3日 ロイター] - 菅義偉首相は3日の参院予算委員会で、「資源の乏しい日本では原発ゼロは厳しい」と述べ、安全に配慮しつつ原発再稼働を進める従来方針を繰り返した。今月11日に発生から10年となる福島原発事故を踏まえた教訓について、安全神話と決別した原発政策が必要と述べた。森ゆうこ委員(立憲民主)への答弁。

菅首相は「10年前に、あのような悲惨なことがあったことを忘れることなく、原発がいかに安全・安心でないといけないか、そうした教訓のためには、どのような小さなことでも、やるべきことをしっかり行うことが極めて大事」と指摘。「安全神話から決別して原発政策をやらないといけないのは当然だ。世界で最も厳しい基準を定め、地震や津波に耐え得る可能性、過酷な事故が起きても十分対処できる必要がある」と強調した。

原発再稼働については、安全性の観点から「認められた原発のみ、地元の理解を得ながら再稼働を進める方針は変わっていない」と説明。また「温室効果ガス実質ゼロ(カーボン・ニュートラル)を実現するには、省エネルギーや再生可能エネルギーなども大胆に(推進を)行う必要がある」と述べた。

菅首相は、東電柏崎刈羽原発(新潟県)でのID不正使用問題で原子力規制委員会への報告が遅れたことに関し、「不適切な事案で大変申し訳ない。極めて遺憾だ」と語った。

*発言内容を追加しました。

(竹本能文 編集:内田慎一)