[ウィーン 2日 ロイター] - オーストリアのクルツ首相は2日、新型コロナウイルスの変異株に対応する次世代ワクチンをイスラエル、デンマーク両国と共同で生産する方針を示した。治療法も共同で研究する。

ワクチンの調達を巡り、欧州連合(EU)の足並みが乱れていることが浮き彫りとなった。

EU加盟国は共同でワクチンを調達しているが、製薬会社との契約締結が遅すぎるとの批判が出ているほか、生産上の問題も発生し、ワクチンの配布が遅れている。

クルツ首相は、EUの共同調達は基本的には正しいが、欧州医薬品庁(EMA)の承認が遅すぎると主張。製薬会社からのワクチン供給が遅れていると厳しく非難した。

同首相は「このため、われわれはさらなる変異株に備える必要があり、第2世代のワクチン生産でEUのみに依存するわけにはいかない」との声明を発表した。

同首相によると、専門家は、オーストリアで人口の3分の2に相当する600万人以上が毎年ワクチン接種を受ける必要があると分析している。

同首相は今週、デンマークのフレデリクセン首相ともにイスラエルを訪問し、急ピッチでワクチン接種を進めたイスラエルの状況を視察する。

ファイザー、ノバルティスなど製薬会社も視察し、専門家と意見交換するという。

ドイツは先月、ワクチン生産のサプライチェーン上のボトルネックに対処する作業部会を設置した。