(ブルームバーグ): NTTの子会社、NTTファイナンスが外貨建て社債の発行条件を決めた。円換算の発行総額は約1兆1000億円となり、昨年の日本国内での過去最大案件に続く巨額起債となった。事情に詳しい関係者が明らかにした。

起債したのは年限2年、3年、5年、7年、10年のドル建て無担保普通社債と、年限4年と9年のユーロ建て無担保普通社債。発行額はドル建て債が総額80億ドル(約8500億円)、ユーロ建て債が総額20億ユーロ(約2600億円)となった。

関係者によると、米国債対比の上乗せ金利(スプレッド)は2年債が25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、3年債が35bp、5年債が57bp、7年債が60bp、10年債が70bpに決まった。ユーロ建てのスプレッドは、4年債がミッドスワップ(MS)+30bp、9年債が+40bp。いずれも需要調査を始めた当初の水準から縮小した。

NTTは昨年末に約4兆2500億円を投じてNTTドコモを完全子会社化した。昨年12月にはNTTFを通じて円建てで一度の起債額として国内最大となる総額1兆円を発行し、関連する協調融資などの借り換え資金などに充当。今回債での調達資金もこれに充てる。

NTT広報室の荒巻優三氏によると、最終的な需要の規模はドル建て債で発行総額の3.2倍に相当する約259億ドル、ユーロ建て債は同3.3倍の約66億ユーロ。外貨建てでの起債は資金調達の多様化を目指したものだったとし、発行総額が円建て債の規模に匹敵する規模になり「ある程度は目標としたところを達成できた」と同氏は述べた。

今回債の主幹事はモルガン・スタンレーとJPモルガン、BofAセキュリティーズ、ゴールドマン・サックス、みずほ証券、野村証券、SMBC日興証券が務めた。

いずれの社債もNTTの保証が付く。債券格付けはムーディーズ・ジャパンで「A1」、S&Pグローバル・レーティングで「A」。

海外では今月、中国の電子商取引会社アリババグループが10年債を含む4本立てのドル建て債を起債している。ムーディーズによる債券格付けはNTTの今回債と同じ「A1」で、10年債のスプレッドは100bp。4本合わせた発行総額は50億ドル(約5275億円)だった。NTTのドル建て10年債はこれを30bp下回った一方、発行総額はアリババを超えたことになる。

【NTT債の年限別発行条件一覧】

(第5段落にNTTのコメントを追加します)

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