[ローマ 17日 ロイター] - イタリアのドラギ新首相は17日、先週末の就任後初めて議会で演説し、新型コロナウイルス危機後の再建に向けて抜本的な改革を実行すると表明した。

ドラギ氏は自身に課せられた責務は「あらゆる手段を用いて(新型コロナの)流行に立ち向かい、国民の命を守ることだ」と強調。「いま結束は選択肢ではなく義務だ。しかしこれはわれわれ全てを結び付けるもの、すなわちイタリアへの愛に導かれた義務だ」と述べ、政治家と市民の結束を訴えた。

上院での信任投票を前に「戦後直後の政府がそうだったように、われわれは新たな再建を開始する可能性、もっと言えば、責任がある」と強調した。

上院(定数315)は信任投票を行い、賛成262、反対40の賛成多数で可決した。18日に行われる下院の信任投票でも同様の差での可決が確実視されている。

コロナワクチン接種の円滑な遂行に加え、欧州連合(EU)から受け取る2000億ユーロ(2400億ドル)超の復興基金をどう活用するかが喫緊の課題となるが、ドラギ氏は資金が十分に利用されるよう、官僚主義がはびこる行政と時間がかかることで知られる司法制度を全面的に見直す考えを示唆した。

また「現政権を支持するということはユーロを選択することの不可逆性や、共通予算に向け統合化が進むEUの姿を共有することを意味する」とし、親欧州の姿勢を鮮明に打ち出した。

欧州中央銀行(ECB)総裁を8年間務めたドラギ氏は、欧州で最も尊敬されている著名人の1人。市場でも同氏の首相任命が歓迎され、16日にイタリア政府が発行した国債は記録的な需要を集めた。

ただ、イタリア経済の大半の部門は停滞し、一部の企業は政府からの給付金で辛うじて存続している状態にあるなど、ドラギ氏は難題を突き付けられている。同氏は全ての雇用や企業を守ることはできないと述べ、「一部は劇的な変革が必要になるだろう」とした。

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