[ワシントン 9日 ロイター] - 米労働省が9日に発表した2020年12月の雇用動態調査(JOLTS)によると、採用件数が減少したもののの、求人件数がやや増加し、レイオフ件数が減少した。12月の雇用減は先行き不透明感が高い中で企業が採用を抑制したことが要因だったことが示唆された。

労働省が1月8日に発表した12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が8カ月ぶりに減少。インディード・ハイアリング・ラボの調査担当ディレクター、ニック・バンカー氏は「12月に雇用が減少したのは採用が抑制されたためで、レイオフが増えたためではなかった」とし、「雇用側が採用に消極的だった。レイオフで雇用関係が破壊された場合と比べ、こうしたトレンドは反転しやすい」と述べた。

求人件数は665万件と、前月から7万4000件増加。求人率は4.5%と、4.4%から上昇した。専門職・企業サービスが29万6000人増加したが、教育を除く州・地方政府は減少。芸術、エンターテインメントのほか、衣料品を含む非耐久財製造部門も減少した。

採用件数は554万件と、39万6000件減少。採用率は3.9%と、4.2%から低下した。宿泊・飲食業で22万1000件、 運輸、倉庫、公益で13万3000件、芸術、エンターテイメント、娯楽で8万2000件減少。一方、小売は9万4000件増加した。

レイオフ件数は181万件と、24万3000件減少。レイオフ率は1.3%と、1.4%から低下した。連邦政府、運輸、倉庫、公益、ヘルスケア、社会支援で減少。一方、芸術、エンターテインメント、リクリエーションで5万人がレイオフされた。

自発的な離職件数は329万件と、10万6000件増加。自発的な離職率は2.3%と、2.2%から上昇した。自発的な離職率は、労働市場における信頼感の水準を見極める指標として政策担当者が注目している。ただ、学校の対面授業が再開されない中、多くの女性が子どもの面倒を見るために離職せざるを得ない状況に直面している。

労働省が今月5日に発表した1月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比4万9000人増加し、前月の22万7000人減から反転した。オックスフォード・エコノミクス(ニューヨーク)の米国担当リードエコノミスト、リディア・ブソル氏は「労働市場の見通しは、緩慢ではあるが改善している。新型コロナワクチンの接種が進む中、貯蓄の増加と経済活動の活性化に後押しされ、年内に660万人の雇用が回復する」との見方を示した。

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