[ワシントン 8日 ロイター] - 米議会予算局(CBO)は8日、バイデン大統領による最低賃金を2025年までに時給15ドルに引き上げる計画によって、雇用は2025年に140万人失われる一方、90万人が貧困から脱出するとの試算を示した。

賃金上昇が給与を押し上げる一方、雇用の減少が相殺要因となるため、向こう10年間の給与額の伸びは正味ベースで3330億ドル程度とした。

最低賃金引き上げの対象者は2025年時点で1700万人に上る見込み。ただ、一部の企業が技術や自動化への投資を増やすことで、140万人の雇用が失われる見通し。

CBOは「若くて教育水準の低い人々は、雇用の減少分に不釣り合いに大きな割合を占めることになる」とした。

財政赤字は10年間で540億ドル拡大する見通し。賃金引き上げに伴うモノやサービスの価格上昇が原因の政府歳出増や、現在は職員の多くが時給15ドル未満で働いている介護施設や介護サービスの賃金引き上げによる公的医療保険「メディケア」と「メディケイド」を通じた医療費増加を理由に挙げた。

失業給付制度の支出は増えるが、食料配給などで支出は減る見込みで、政府の歳入は差し引きで増えるとした。

野党共和党は、最低賃金引き上げで雇用が失われるとして反対する考えを示している。

バイデン大統領は5日、最低賃金引き上げは新型コロナウイルス追加経済対策法案に盛り込まれないとの見解を示した。

ホワイトハウスのサキ報道官は8日、コロナ対策法案に関する議会の手続きは進行中で、上院議員は最低賃金引き上げを盛り込むことが可能かどうかについて決定していないと記者団に述べた。

*内容を追加しました。