2021/2/10

【挑戦】8割赤字のJリーグ。トークンは新たな希望になれるか

スポーツライター
新型コロナウイルスの感染拡大により、Jリーグは2020年度決算で全56クラブのうち約4割が債務超過、約8割が赤字の見通しという苦境に立たされている。
緊急事態宣言が3月7日まで延長され、2月26日に開幕する新シーズンは観客入場制限、キックオフ時間の変更など大きな影響を受けそうだ。
放映権料がクラブ収入全体の半分近くを占めるメジャーリーグ球団や、30〜80%とされる欧州サッカークラブと異なり、Jリーグや日本のプロ野球はスタジアムビジネスを回すことで近年成長を遂げてきた(※目安として、放映権の割合はともに10%程度)。
コロナの影響でスタジアムへの来場者が減ると、チケット収入だけでなく飲食やグッズの販売も減り、広告価値が毀損されてスポンサー収入が下がるという悪循環に陥る。
湘南ベルマーレは2020年の観客動員数が前年から3分の1になり、クラブ全体の収益は3割減の見通しだ。
パンデミックの終息が見えないなか、今後どうやって生き残っていくのか。ベルマーレでセールスユニットリーダーを務める加藤謙次郎氏はこう話した。
「我々がコントロールできないコロナが当面続くと考えた場合、やれるのはチケット、グッズ、広告収入の販売率を何とか下げないように頑張ること。そして、まったく新しい“何か”を探すことです」
新しい打ち手には何があるのか。
それが1月21日、Jリーグ初の取り組みとして発行・発売を発表した「湘南ベルマーレトークン」だ。

クラファンとトークンの違い

サポーターと一緒に歩む「新世代のクラウドファンディングサービス」――。
ベルマーレのオフィシャルクラブパートナーで、トークンの発行・発売を提案したフィナンシェ社はそう位置づける。
サッカー元日本代表の本田圭佑や長友佑都も株主に名を連ねる同社はブロックチェーン技術を活用してトークンを販売し、スポーツチームやアーティストらが「夢」を実現する手助けをしようとしている。
一方のベルマーレは、「とりあえず新しいものに食いついてみるという体質がある」(加藤氏)。
ベルマーレの加藤氏(撮影:中島大輔)
実際、コロナ前からギフティングを行い、昨年にはクラウドファンディングで8510万8380円の支援金を集めるなどオンラインの施策にも積極的だ。
すでに認知度が高いクラファンに対し、日本でなじみの薄いトークンを「全然違うもの」とベルマーレは捉え、「実験台に使ってください」と新たなチャレンジを始めることにした。