[29日 ロイター] - 米ダラス地区連銀のカプラン総裁は29日、連邦準備理事会(FRB)が超緩和的な政策の縮小に着手する時期について、FRB内で「白熱した討論」が予想されると述べた。ただ、緩和縮小の時期については予想を示さなかった。

カプラン総裁はノース・ダラス商工会議所のエネルギーフォーラムで「新型コロナウイルス感染拡大による影響を乗り切ったと明確になるまで、FRBは積極的に政策措置を利用していく必要がある」とし、「コロナ禍終息後に例外的な措置の一部を引き揚げていくのが健全だと考えている」と述べた。

米経済情勢については、今年第1・四半期は極めて困難になるとしながらも、プラス成長は確保できると予想。失業率は年末までに4.5%に低下するとの見通しを示した。また、政府が一段の財政出動を行えば、今年の経済成長率は5%を超える可能性があるとの見方も示した。

風力や太陽光など再生可能エネルギーへの移行には、早くてもあと数十年はかかるとみられ、その間は石油・ガスの利用が不可欠になると指摘。同産業が健全性を失い、十分な資本を調達できず、需要に見合うだけの操業を続けられなくなれば、最も弱い立場にある人々が苦しむことになりかねないと警告した。テキサス州では石油産業による経済生産への貢献度が約8%にも達しているとした。

また、FRBは資産買い入れ規模の縮小開始時期を判断する段階にはないとし、そのような判断は事前に十分周知されると指摘。

資産買い入れペースを縮小する前に、新型コロナ感染者数や入院者数の減少など「パンデミック(世界的大流行)を乗り切ったという証拠」や失業率の低下、2%の物価目標達成に向けた進展を確認したいと語った。一方で、緊急措置の一部が解除されれば、経済はより健全な状態になるとした。